■リーマンショック後の赤字転落で工場の生産性向上に注力したトヨタ

リーマンショックによる世界的な自動車需要の後退は世界最大級のメーカーであるトヨタにも襲いかかった。同社はこの赤字転落の反省から設備投資に実に用心深くなり、2013年度から3年間工場新設を凍結し、逆に既存工場の生産性向上に努めてきた。結果として設備稼働率は世界全体で90%を超えるレベルを維持。また、新車生産における設備投資額を大幅に圧縮させる努力を惜しまず、2008年に比べて投資額は約半分の金額で、同様の生産性を実現するようになっている。

今回発表した中国とメキシコの新工場の初期投資額も2008年と比較するとほぼ40%減少させることができている。最近のトヨタの設備投資はコストをかけない形で生産力の質と規模を高めるところに焦点があたっており、巨大投資による生産能力の拡大という経営戦略は既に過去のものになりつつある。