■大型液晶という架空需要への盲目的投資が決定打

また、大型化した液晶パネルにさらなる需要が生まれるとの見通しも裏目に出た。シャープ堺工場の液晶サイズ別製造コストは、当時のサムスンや奇美電子の32型、46型の製造コストに比べ2~3割高く、パナソニックの姫路工場と比べても同率のコスト高に陥り、当初から60型以上の巨大サイズでしか勝負できないない工場だったのだ。

堺工場は4300億円にも上る投資だったが、実は関連会社や子会社も含めれば、ここだけで1兆円近い投資額という説も囁かれる。そんな中、減価償却だけが毎年のしかかっていた。さらには、事実上の銀行管理下に近い直近の体制でも経営危機は継続しており、年度末に毎年数千億の赤字を計上するのも常態化している。まさに「投資における目のつけどころの悪さ」が、シャープの失敗経営の根幹をなしてしまっているのだ。