アベノミクスの開始から2年以上を経て、政府も日銀も景気の回復感を異口同音に謳いあげているが、量的金融緩和の実現は設備投資をかなり押し上げると見込んでいた日銀に対し、企業側は需要の伸びを期待できないことから、この期に及んでも大きな設備投資を見送る状況が続いている。

そんな中で、 金融支援を再三行っても大幅に資本が目減りし続けるシャープ <6753> は、「一本足」とも言われる液晶事業一つへの依存していたところに、誤算に基づいた、身の丈に合わない設備投資の影響が尾を引いて、建て直しすら困難な状況だとも受け取られかねない。

一方、 好業績のフラッグシップカンパニーであるトヨタ自動車 <7203> がリーマンショック後の工場新設凍結を解除し、今年から中国とメキシコに新工場建設を発表し注目されている。

両社は製造業とはいえ事業内容も異なり、単純には比較できないが、メーカーにとって事業環境にそぐわない安易な設備投資が企業経営における命取りとなることを改めて感じさせられる対照的な事例となっている。