この記事は2025年6月11日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=ShiiSan/stock.adobe.com)

2025年6月11日(水)の午前10時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

現在グローバルには、米国からの資金流出シフトが起きているようだ。

昨年までは、生成AI中心にAI関連の急速な発展により、米国はあくまでも特別な存在であり、多くの投資家は、米国への投資を進めていた。

しかし、今年の2月頃から、「トランプトレードの終焉」をきっかけに米国から投資資金が急速に他のプロダクトに移行しているようだ。

FT(フィナンシャル・タイムズ)のジリアン・テットも下記のようにコメント。

「カナダの年金基金からアジアの有力機関に至るまで、様々な投資グループが米国資産から密かに分散投資を進めていると私に告げるのも不思議ではない。」

(出所:FT)

こうした米国資産からの分散投資が広範なドル安を誘引していると考えている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

下記の添付は「開放の日」以来の主要通貨の対米ドルに対する騰落率。

<米ドルの騰落率>

<米ドルの騰落率>
(出所:ブルームバーグ)

ドルは全ての主要通貨に対して下落。ドルに対して最も値を上げているのが、最強通貨スイスフラン。現時点の政策金利は0.25%。SNBがマイナス金利へシフトすると囁かれているにもかかわらず、低金利のスイスフランは最強。

一方、対円でもドル安だが、主要通貨の中では最も米ドルに対する上昇率が低い。これは日本からの米国への投資熱が下がっていないからだと考える。新NISAを利用しての個人のS&Pへの投資。そして全く減らないデジタル赤字などから考えれば、日本から米国への資金移動は減っていないようだ。

これは他の主要国の動向とは違った方向性。そのため、個人的にはいったん米ドル/スイスフランのショートだけにしている。ただ他通貨でドル安が進む中、米ドル/円だけがドル高と考えるのは難しいため、米ドル/円に関しては戻りをうまく利用したいところ。

▽米ドル/円 日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。