■シャープは液晶パネルのコモディティ化の速さで誤算

シャープは1998年、国内におけるテレビをすべて液晶にすると宣言し、液晶6工場に合計1兆3000億円以上の設備投資をした。この投資によるROC(資本利益率=純損益÷総資本)は2007年までは順調に推移し、2004年からは毎年5%以上の好循環で投資効率の高さを示してきた。実際、2007年度の同社の売上げは、2002年度の2兆円から1.5倍の3兆5000億円弱へと増大し、順調な推移をたどるようにみえたのだ。ただ、この時点で既に液晶事業への依存率は47%にまで膨れ上がりっていた。

そんな中、さらに大阪・堺に4300億円を投じた世界最大の工場プロジェクトにゴーサインがかかった。その結果、現在の非常に厳しい経営状況に直面している経緯がある。2008年にリーマンショックが起こり、液晶の需要が大きく落ち込んだこともその一因となっているが、それよりも同社の想像をはるかに超えるスピードで示現してしまった液晶パネルのコモディティ化と、価格の大幅下落に全く対応できなかったことが大きく響いてしまったのだ。