本記事は、松田幸之助氏、吉川充秀氏の著書『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

人材育成
(画像=Maki_Japan / stock.adobe.com)

人財教育の仕組み化のゴール

■ 仕組みを動かす人を育てて実現すること

ここまでで私たちのマネジメント方程式=スキル×モチベーション×ベクトルについて述べましたが、最後に、マネジメント方程式と決定サイクル(業績=戦略確率×実行確率)の立ち位置の違いと、成果を出す仕組みをつくるための重要なポイントをお伝えいたします。

私たちの仕組みの考え方をシンプルにまとめると「仕組みが人を動かし、人が仕組みを動かす」になります。

成果を出す方程式は「戦略確率×実行確率」で表すことが可能です。

そして戦略確率には報告と決定の要素、実行確率には実施とチェックの要素があります。

「日報の仕組み」があることで「報告」をする必要があり、「日報の仕組みがあることで人が報告をする」という「仕組みが人を動かす」状態になるわけです。

しかし、当然ながら仕組みを動かすのは「人」です。残念ながらどんなに成果の出る「仕組み」を構築したとしても「その仕組みを動かす人」次第では、効果が半減したり、倍になったりするのです。

では、仕組みを動かす「人」をどのように教育すればいいのか。それがメインテーマのマネジメント方程式「スキル×モチベーション×ベクトル」でした。

日報の仕組みを導入して日報が上がってくるようになってきた。しかし、日報を上げるのが10名中3名で、残りの7名は上げてくれないとなると、日報の効果は30%しか得られていないことになります。

また、仮に日報が10名中10名から上がっているとしても「日報の質」が低ければ、これもまた日報の仕組みを最大限に活かせていることにはなりません。

なぜこのような問題が起きてしまうのか。それは「日報という仕組みを動かす人」について考えが不十分だからです。

日報を上げてくれる人が少ない、日報の質が低いとなるとその要因は「スキルが足りないのが原因なのか?」「モチベーションが低いのか?」「日報を書く理由が伝わっていないのか?」というマネジメント方程式のスキル・モチベーション・ベクトルのどこに課題があるのかを考えます。

スキル不足で日報が書けないのであれば、どのように日報を書くといいかを社員教育で教えてあげればいいのです。

モチベーションが低いのであれば、モチベーションを高めるようにコミュニケーションをしっかり取ったり、日報を書く理由がわからなければその理由をベクトル合わせをして伝えていけばいいのです。

大切なのは「仕組みが人を動かし、人が仕組みを動かす」という視点です。成果を出す仕組みをつくることは重要です。同時に仕組みを動かす人を育てることも重要なのです。

そして、「人財教育の仕組み」ができあがると、この「仕組みが人を育て、人が仕組みを磨く」といった「成果の出るサイクル」を「仕組み」で回すことが可能になるのです。

重点的な仕組み化が成果を生む

■ 一番伸び代がある要素から仕組み化していく

プリマベーラの仕組み化経営は至ってシンプルです。なぜならば、成果を出すためには次の7つの仕組み化経営の要素と、仕組み化経営のOS(オペレーティングシステム)の要素の中から「一番伸び代がある要素」を選び、そこに対して重点的に仕組みをつくっていけばいいからです。

仕組み化経営の7つの要素
・業績方程式①=戦略確率×実行確率(決定サイクル:報告、決定、実施、チェック)
・業績方程式②=マネジメント方程式(スキル×モチベーション×ベクトル)
 〈1〉報告
 〈2〉決定
 〈3〉実施
 〈4〉チェック
 〈5〉スキル
 〈6〉モチベーション
 〈7〉ベクトル
仕組み化経営のOS
・経営計画書
・物的環境整備
・お客様第一主義

これらの要素の中から、経営の課題を見つけ出し、重点的に手を入れていくことで、毎年「成果の出る仕組み」が積み上がっていきます。

プリマベーラも最初は経営計画書や環境整備といった仕組み化経営のOSづくりから始まりました。そこから毎年少しずつ「決定の精度を高める会議の仕組み」を構築したり、「実施の精度を高めるためのマニュアルの仕組み」を構築したりと、1つひとつ仕組みをつくり、積み上げてきたのです。

私たちが仕組みづくりのお手伝いをさせていただいているお客様でも、毎年「テーマ」を決めて仕組みづくりを行っています。一番手を入れると成果が出る箇所を見つけ出し、そこに重点的に取り組むのです。そうすると、組織の変化が生まれ、やがてそれが成果につながっていくのです。

『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
(画像=『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用)
『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
松田幸之助(まつだ・こうのすけ)
株式会社プリマベーラ経営サポート事業部社長執行役、兼CCO(Chief Consulting Officer:最高コンサルティング責任者)。
1989年生まれ。市川市立平田小学校卒業。家庭が貧しく13歳から働いて生計を立て、19歳で株式会社プリマベーラにアルバイト入社。アルバイトから、年商51億円企業のトップコンサルタントに上り詰める。延べ400社、10,000名以上の社長、幹部に経営指導を行い、業績アップを実現。経営者・幹部目線でのアドバイスはわかりやすく、実践しやすいと高く評価されている。指導先には日本経営品質賞を受賞するトップ企業も含まれる。
著書にベストセラー『ヤバい仕組み化』(共著、あさ出版)。
吉川充秀(よしかわ・みつひで)
株式会社プリマベーラの創業者。現取締役会長、兼CGO(Chief Gomihiroi Officer:最高ゴミ拾い責任者)。
1973年、群馬県生まれ。横浜国立大学卒業後、地元のスーパーに入社。24歳でビデオショップを開業し、26歳で高額納税者に。2008年、株式会社武蔵野の小山昇氏の実践経営塾に入会。先輩社長から「スピード違反」と言われながらも、爆速で経営の仕組み化を進め、入会後1年2ヶ月という史上最速で改善事例発表企業に選出される。以降、経営計画のチェック講師を10年間歴任し、延べ2,000人の社長の経営計画を指導。2022年、小山昇氏が認定する、受講料176万円の実践経営塾の講師の7人のうちの1人に選ばれる。2023に代表取締役を退任し、現職。2025年3月現在、プリマベーラは従業員数400名、4事業部18業態52店舗を展開し、年商51億円。15期連続増収増益を更新中。ライフワークはゴミ拾いであり「ゴミ拾い仙人」としてメディア出演、講演活動多数。著書に『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』『ヤバい仕組み化』(共著)(いずれも、あさ出版)、『自分で自分の機嫌をとる習慣♪』(かや書房)。

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