本記事は、松田幸之助氏、吉川充秀氏の著書『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

コミュニケーション
(画像=Sergey Nivens / stock.adobe.com)

コミュニケーションとは実行確率を上げる手段

■ コミュニケーションの目的とは

モチベーションと切っても切り離せないものが「コミュニケーション」です。コミュニケーションの取り方ひとつで、ハラスメントだと受け取られたり、そこまでいかなくても相手のモチベーションを下げたりすることは少なくありません。昨今、コミュニケーションの重要性はこれまで以上に注目されています。

しかしながら、コミュニケーションの重要性が叫ばれる一方で、その「目的」を見誤っているケースも見受けられます。例えば、社内コミュニケーションを活性化すれば「業績がよくなる」と盲信して取り組むことには、注意が必要です。

マネジメントの目的は「実行確率を上げること」です。であれば、コミュニケーションの目的もまた「実行確率を上げること」にあります。

社内コミュニケーションがしっかり取れているからこそ、報告がスムーズに上がる。

実施がスムーズに進む。こうした状況が整えば、「報告・実施・決定・チェック」がスムーズに回り、組織全体の実行力が高まります。

コミュニケーション研修が無駄だと言いたいわけではありません。私たちもコミュニケーションを「非常に重要なもの」と考えています。

ただし、「コミュニケーションさえよくすれば成果が出る」という考え方には賛同できません。事業成果を最大化するためには、コミュニケーションを「実行確率を上げるための手段」として捉えることが重要です。

情と報のやり取りでコミュニケーションを活性化させる

■ 「報告」の実行確率を上げる方法

私たちがコミュニケーションを取る際に大切にしている考え方の1つが、「情と報の三角形」です。先ほどお伝えしたように、コミュニケーションとは「実行確率」を上げるための手段です。この「情と報の三角形」は、特に「報告の実行確率」を上げるための方法を図式化したものです。

私たちのベクトル用語集では、コミュニケーションについて次のように定義をしています。

【コミュニケーション(1)】
感情と報告のやりとりです。「情」と「報」に分かれる。情という土台があってはじめて、報告が流れる。まずは情を築く。それから仕事が円滑に進むのです。
【コミュニケーション(2)】
コミュニケーション=会話回数×会話内容。量×質。量である回数を重視する。雑談で会話回数を増やし、さし飲みで深い話をするとよい。

例えば、仕事でミスをしてしまったとき、「上司に報告するのが億劫」になることがあります。しかし、普段からコミュニケーションが取れている上司であれば、すぐに報告し、解決策を一緒に考えることができます。

一方で、コミュニケーションが不足している上司の場合「怒られるかもしれない」「どう言えばいいだろう」と悩み、1時間、2時間、時には数日報告が遅れてしまうこともあるかもしれません。

このような情報の流れを、私たちは「情」と「報」で分けて考えています。普段からしっかりとコミュニケーションを取ることで、「情という感情」の土台を築いておく。

この感情の土台がしっかりとできていると、その上に「報という仕事上の報告」がスムーズに乗るという考え方です。

『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
(画像=『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用)

仕事でミスをしてしまった場合でも、「情という感情」の土台ができている相手であれば、「報という仕事上の報告」が滞ることなく行われます。つまり、コミュニケーションの本質は、この「情という感情の土台」をどれだけ広くつくれるかにかかっています。土台が広ければ広いほど、報告もスムーズに集まり、組織全体の成果につながります。

この考え方を視覚的に表現したものが「情と報の三角形」です。コミュニケーションとは、単に情報を伝えるだけでなく、感情的な信頼関係を土台に構築し、その上に仕事の報告や指示を乗せていくことが、成果を上げる鍵となるのです。

『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
松田幸之助(まつだ・こうのすけ)
株式会社プリマベーラ経営サポート事業部社長執行役、兼CCO(Chief Consulting Officer:最高コンサルティング責任者)。
1989年生まれ。市川市立平田小学校卒業。家庭が貧しく13歳から働いて生計を立て、19歳で株式会社プリマベーラにアルバイト入社。アルバイトから、年商51億円企業のトップコンサルタントに上り詰める。延べ400社、10,000名以上の社長、幹部に経営指導を行い、業績アップを実現。経営者・幹部目線でのアドバイスはわかりやすく、実践しやすいと高く評価されている。指導先には日本経営品質賞を受賞するトップ企業も含まれる。
著書にベストセラー『ヤバい仕組み化』(共著、あさ出版)。
吉川充秀(よしかわ・みつひで)
株式会社プリマベーラの創業者。現取締役会長、兼CGO(Chief Gomihiroi Officer:最高ゴミ拾い責任者)。
1973年、群馬県生まれ。横浜国立大学卒業後、地元のスーパーに入社。24歳でビデオショップを開業し、26歳で高額納税者に。2008年、株式会社武蔵野の小山昇氏の実践経営塾に入会。先輩社長から「スピード違反」と言われながらも、爆速で経営の仕組み化を進め、入会後1年2ヶ月という史上最速で改善事例発表企業に選出される。以降、経営計画のチェック講師を10年間歴任し、延べ2,000人の社長の経営計画を指導。2022年、小山昇氏が認定する、受講料176万円の実践経営塾の講師の7人のうちの1人に選ばれる。2023に代表取締役を退任し、現職。2025年3月現在、プリマベーラは従業員数400名、4事業部18業態52店舗を展開し、年商51億円。15期連続増収増益を更新中。ライフワークはゴミ拾いであり「ゴミ拾い仙人」としてメディア出演、講演活動多数。著書に『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』『ヤバい仕組み化』(共著)(いずれも、あさ出版)、『自分で自分の機嫌をとる習慣♪』(かや書房)。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
ZUU online library
※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます。