本記事は、松田幸之助氏、吉川充秀氏の著書『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

勉強会
(画像=N7 / stock.adobe.com)

昇進率100%の勉強会を設計する方法

■ ラーニングピラミッドで勉強の成果を最大化する

社員教育のために勉強会を開催している企業は多いと思います。一方で「勉強会を開いても思うように社員が成長してくれない」と感じる経営者や担当者も少なくないのではないでしょうか。

私たちも数多くの社内勉強会を開催してきましたが、成果を実感できないものもありました。そのような課題に直面した際に取り入れたのが、「ラーニングピラミッド」という教育指導の考え方です。

ラーニングピラミッドによれば「講義」を受けた際の記憶定着率はわずか5%、読書による定着率は10%程度とされています。一方で、ディスカッションや実践型の学びでは定着率が大幅に向上することが明らかになっています。

仕組み化が進む以前、私たちの社内勉強会の多くは「一方的な講義形式」でした。

講師が話すだけで、やる気のある人は話を聞きますが、やる気のない人はただ座っているだけという状態です。

そこで、ラーニングピラミッドの考え方に基づき、記憶の定着率を高める「ディスカッション」や「実践型の講義」に勉強会のスタイルを切り替えました。さらに、新入社員教育プログラムでは「今年の受講生の中から来年の講師を担当する」というルールを導入しました。この仕組みにより、受講生は次年度に教えることを見据えて一生懸命学ぶようになり、学びの効果が飛躍的に向上しました。

特に注目すべきは、「人に教える人が最も成長する」という点です。実際、新入社員教育プログラムで「社内講師」を務めた10名のうち10名全員が、昇進を果たしています。昇進率は驚異の100%です!

『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
(画像=『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用)

スキルアップを加速させる車内大学の仕組み

■ 移動時間を勉強時間に変える環境を提供する

これを読んで「よし! 社員教育の時間をつくろう!」と思っても、実際には「社員教育の時間がとれない」そのような現実に直面する方も多いでしょう。業務と社員教育のバランスを取るのは、確かに難しい課題です。

そこで私たちが導入しているのが「車内大学の仕組み」です。プリマベーラの本社は群馬県太田市にあり、郊外に店舗があることが多いため、従業員の移動手段のほとんどは「車」です。通常、出勤や退勤の移動時間は「ラジオや好きな音楽」を聴きながら過ごすことが一般的ですが、私たちはこの「移動時間」に注目しました。

運転中に手を使うことはできませんが、耳で情報を得ることは可能です。そこで、「移動時間中に耳から学べるコンテンツ」を多数用意しました。これを「耳学」と呼んでいます。過去に開催した社内勉強会の音声を、「コミュニケーション」「マネジメント」などのカテゴリーに分類し、誰でも気軽に学べる環境を整えています。

もちろん、出勤・退勤の時間に学ぶかどうかは従業員の自由です。しかし、例えば片道30分の通勤時間を学びに充てた場合、1ヶ月で約10時間、1年では120時間以上の学びの効果を得られる計算になります。私自身も移動時間は基本的に「耳学」に当てていますが、この積み重ねが驚くほど大きな成長につながっています。

「車内大学の仕組み」は、学びたいと思ったときにすぐに学べる環境を提供するための非常に有効な方法です。

車の移動はもちろん、電車やバス、徒歩の移動時間など、従来ただの「移動時間」とされていたものが、社員にとって価値ある「勉強時間」へと変わります。社員教育を充実させたいと考える方には、ぜひ導入を検討していただきたい仕組みです。

『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
(画像=『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用)
『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
松田幸之助(まつだ・こうのすけ)
株式会社プリマベーラ経営サポート事業部社長執行役、兼CCO(Chief Consulting Officer:最高コンサルティング責任者)。
1989年生まれ。市川市立平田小学校卒業。家庭が貧しく13歳から働いて生計を立て、19歳で株式会社プリマベーラにアルバイト入社。アルバイトから、年商51億円企業のトップコンサルタントに上り詰める。延べ400社、10,000名以上の社長、幹部に経営指導を行い、業績アップを実現。経営者・幹部目線でのアドバイスはわかりやすく、実践しやすいと高く評価されている。指導先には日本経営品質賞を受賞するトップ企業も含まれる。
著書にベストセラー『ヤバい仕組み化』(共著、あさ出版)。
吉川充秀(よしかわ・みつひで)
株式会社プリマベーラの創業者。現取締役会長、兼CGO(Chief Gomihiroi Officer:最高ゴミ拾い責任者)。
1973年、群馬県生まれ。横浜国立大学卒業後、地元のスーパーに入社。24歳でビデオショップを開業し、26歳で高額納税者に。2008年、株式会社武蔵野の小山昇氏の実践経営塾に入会。先輩社長から「スピード違反」と言われながらも、爆速で経営の仕組み化を進め、入会後1年2ヶ月という史上最速で改善事例発表企業に選出される。以降、経営計画のチェック講師を10年間歴任し、延べ2,000人の社長の経営計画を指導。2022年、小山昇氏が認定する、受講料176万円の実践経営塾の講師の7人のうちの1人に選ばれる。2023に代表取締役を退任し、現職。2025年3月現在、プリマベーラは従業員数400名、4事業部18業態52店舗を展開し、年商51億円。15期連続増収増益を更新中。ライフワークはゴミ拾いであり「ゴミ拾い仙人」としてメディア出演、講演活動多数。著書に『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』『ヤバい仕組み化』(共著)(いずれも、あさ出版)、『自分で自分の機嫌をとる習慣♪』(かや書房)。

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『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』
  1. 最速・最短で成果が出る業績方程式とは
  2. 仕組み化経営×生成AIで爆速回転させる
  3. マネジメントとは実行確率を上げること
  4. 教育には教えるタイミングが存在する
  5. ラーニングピラミッドで勉強の成果を最大化
  6. コミュニケーションとは実行確率を上げる手段
  7. 「仕組みが人を動かし、人が仕組みを動かす」がもたらす成果とは
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