本記事は、松田幸之助氏、吉川充秀氏の著書『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

生成AI
(画像=miss irine / stock.adobe.com)

生成AIで仕組みづくりを爆速回転させる

■ 仕組み化経営×生成AI

報告と決定が戦略確率を構成し、実施とチェックが実行確率を構成します。

つまり、「業績=戦略確率×実行確率」で表すことができるため、報告・決定・実施・チェックという経営の4要素の精度を高めれば、確実に成果を上げることができるのです。

この決定サイクルの質を高め、さらに高速回転させることができるツールが、今話題のChatGPT やGemini などの「生成AI」です。

日々大幅に進化し続ける生成AIは、企業経営を進めるうえで、もはや無視できない存在になっています。

私たちプリマベーラでも、2023年9月22日より、AIに興味がある、またはITに強い社員を中心に「AI研究会」を立ち上げ、積極的にAIを研究し、実験を重ねています。

2025年2月現在、仕組み化経営と特に相性が良い生成AIがChatGPTとGeminiです。ChatGPT、Gemini は簡単に言えば「対話するAIアシスタント」です。

秘書やコンサルタントに質問したり、相談したりするようにChatGPTに問いかけると、非常に具体的かつ高度な返答が得られます。

実際に私がChatGPTに触れたとき、その性能に衝撃を受けました。質問を投げかけると、すぐに具体的で的確な答えが返ってくる。その対応力は、まるで優秀なコンサルタントと対話しているかのようでした。

この体験を通じて「このままだと、コンサルタントの仕事がなくなるのではないか」と感じたほどです。正確には「知識やノウハウを伝えるだけのコンサルタント」は、今後生成AIに取って代わられるだろうと強く実感しました。

実は、前著『ヤバい仕組み化』を出版した際にも、多くの読者や経営者の皆様から「ビジネス書1冊の値段で、経営ノウハウをこんなに公開して大丈夫なのですか?」という驚きのメッセージを多数いただきました。「ノウハウをこれほど公開してしまうと、コンサルティング事業部の売上に影響が出るのでは?」と危惧してくださったようです。

しかし、私はその時も、そして今も、知識やノウハウの価値は急激に低下していくと考えています。理由は、まさに生成AIの登場によって、これまでのように「知識を伝えるだけ」の役割はAIが行うからです。だからこそ、知識を隠すのではなく、むしろすべてを公開しようという思いで前著を執筆しました。本作においても、出し惜しみなく、私たちの成果を生む仕組みを公開していきます。

これからの時代、残るコンサルタントは「本物」だけです。

「お客様との約束」にしっかりコミットし、必ずその約束を達成させることができるコンサルタントだけが、生き残るでしょう。

そのため、私はコンサルティング事業部のチームメンバーに対して常に「本物のコンサルタントとして、お客様の価値実現にコミットしよう」と繰り返し伝えています。

■ 生成AIでマニュアルを爆速で作成する方法

さて、読者の中には「実際にどのように生成AIを活用しているのか?」と気になっている方もいるかと思います。そこで、仕組み化経営×生成AIの実践的な活用方法についてご紹介します。

生成AIにはさまざまな活用方法がありますが、すぐに導入できて効果が高い手法の1つが「マニュアル作成」です。

通常、マニュアルをつくるとなると、人によっては2〜3時間かかることもあります。しかし、生成AIを活用すれば、ものの数分でマニュアルを作成することが可能になるのです。

生成AIを効果的に活用するには、「プロンプト」と呼ばれる「指示の出し方」が重要です。そこで私たちは「マニュアルのつくり方マニュアル」を作成し、誰でも簡単にマニュアルをつくれる仕組みを構築しました。

「マニュアルのつくり方マニュアル」には、以下の基本フォーマットがあります。

  • 目的(このマニュアルは何のためにあるのか?)
  • 基本(このマニュアルの基本方針、大枠は何か?)
  • 具体(このマニュアルの具体的な事例は何か?)
  • 禁止事項(このマニュアルの中でやってはいけないことは何か?)
  • 目標(このマニュアルでどのぐらいの成果を目指しているのか?)

このフォーマットをもとに、生成AIに指示を出してみてください。

すると、たたき台となるマニュアルが、ものの数秒で作成されます。

これにより、マニュアル作成にかかる時間を大幅に短縮でき、さらにマニュアルの質も一定の水準を保つことが可能になります。

下記に実際の指示と、AIが作成したマニュアルを載せています。

いかがでしょうか。これだけでも十分に活用できる接客マニュアルになっていると思います。

あとは、自社の文化や業務フローに合わせて少しアレンジを加えるだけで、簡単に実用的なマニュアルを作成することができるのです。

仕組み化経営と生成AIは非常に相性が良いため、ぜひ積極的に活用してみてください。

実際のプロンプト(指示文)

下記のフォーマットに基づき小売業の接客マニュアルを作成したいです。
すべての項目に箇条書きで中身を作成してください。

  • 目的(このマニュアルは何のためにあるのか?)
  • 基本(このマニュアルの基本方針、大枠は何か?)
  • 具体(このマニュアルの具体的な事例はなにか?)
  • 禁止事項(このマニュアルの中でやってはいけないことはなにか?)
  • 目標(このマニュアルでどのぐらいの目標をめざしているのか?)

ChatGPT4o での実際の回答

小売業の接客マニュアル

● 目的(このマニュアルは何のためにあるのか?)
  • 接客品質の統一を図り、店舗全体のサービスレベルを向上させる
  • お客様満足度を高め、リピーターを増やす
  • スタッフが自信を持って接客できるようにする
  • クレームの防止とトラブル対応をスムーズにする
● 基本(このマニュアルの基本方針、大枠は何か?)
  • 笑顔・元気・丁寧な接客を徹底する
  • お客様第一主義を貫く(お客様の気持ちを最優先に考える)
  • 清潔感のある身だしなみを維持する
  • 分かりやすい説明と的確な対応を心がける
  • クレームやトラブルには冷静に対応し、速やかに解決策を提示する
● 具体((このマニュアルの具体的な事例はなにか?)

1. 基本的な接客の流れ

  • 入店時の挨拶:「いらっしゃいませ!」と明るく笑顔で迎える
  • お客様の様子を観察する(すぐに話しかけるべきか、見守るべきかを判断)
  • 適切なタイミングで声かけ:「何かお探しでしょうか?」など
  • 商品説明:ポイントを押さえ、専門用語は避ける
  • レジ対応:お釣りは丁寧に渡し、「ありがとうございました」とお見送り
  • 退店時の挨拶:「またお待ちしております!」

2. 商品の説明と提案

  • お客様のニーズを聞き出す:「どんな用途でお探しですか?」
  • メリット・デメリットを正直に伝える(押し売りにならないように)
  • セット購入や関連商品を提案:「こちらも一緒にお使いいただくと便利です」

3. クレーム対応

  • 冷静に話を聞く(相手の怒りを受け止める)
  • 謝罪する:「申し訳ございません。すぐに確認いたします」
  • 清潔感のある身だしなみを維持する
  • 適切な対応を提案する(返品・交換・補償など)
  • 上司や責任者にエスカレーションする(判断が難しい場合)
禁止事項(このマニュアルの中でやってはいけないことはなにか?)
  • 無愛想な対応・不機嫌な態度をとる
  • お客様を無視する・適当にあしらう
  • タメ口や不適切な言葉遣いをする(「マジですか?」など)
  • 店内でスタッフ同士の私語をする
  • 携帯電話をいじる・業務中に遊ぶ
  • 不衛生な身だしなみ・乱れた服装で接客する
  • お客様に対して強引な販売を行う
  • クレームに対して感情的になったり、言い訳をする
目標(このマニュアルでどのぐらいの目標をめざしているのか?)
  • リピーター率の向上(例:半年以内に20%増加)
  • お客様満足度アンケートの評価平均4.5以上(5点満点)
  • クレーム件数の削減(前年対比で30%減少)
  • 新人スタッフの接客研修受講率100%
  • 全スタッフが1ヶ月に1つ以上の接客向上の取り組みを実践する
『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』より引用
松田幸之助(まつだ・こうのすけ)
株式会社プリマベーラ経営サポート事業部社長執行役、兼CCO(Chief Consulting Officer:最高コンサルティング責任者)。
1989年生まれ。市川市立平田小学校卒業。家庭が貧しく13歳から働いて生計を立て、19歳で株式会社プリマベーラにアルバイト入社。アルバイトから、年商51億円企業のトップコンサルタントに上り詰める。延べ400社、10,000名以上の社長、幹部に経営指導を行い、業績アップを実現。経営者・幹部目線でのアドバイスはわかりやすく、実践しやすいと高く評価されている。指導先には日本経営品質賞を受賞するトップ企業も含まれる。
著書にベストセラー『ヤバい仕組み化』(共著、あさ出版)。
吉川充秀(よしかわ・みつひで)
株式会社プリマベーラの創業者。現取締役会長、兼CGO(Chief Gomihiroi Officer:最高ゴミ拾い責任者)。
1973年、群馬県生まれ。横浜国立大学卒業後、地元のスーパーに入社。24歳でビデオショップを開業し、26歳で高額納税者に。2008年、株式会社武蔵野の小山昇氏の実践経営塾に入会。先輩社長から「スピード違反」と言われながらも、爆速で経営の仕組み化を進め、入会後1年2ヶ月という史上最速で改善事例発表企業に選出される。以降、経営計画のチェック講師を10年間歴任し、延べ2,000人の社長の経営計画を指導。2022年、小山昇氏が認定する、受講料176万円の実践経営塾の講師の7人のうちの1人に選ばれる。2023に代表取締役を退任し、現職。2025年3月現在、プリマベーラは従業員数400名、4事業部18業態52店舗を展開し、年商51億円。15期連続増収増益を更新中。ライフワークはゴミ拾いであり「ゴミ拾い仙人」としてメディア出演、講演活動多数。著書に『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』『ヤバい仕組み化』(共著)(いずれも、あさ出版)、『自分で自分の機嫌をとる習慣♪』(かや書房)。

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『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』
  1. 最速・最短で成果が出る業績方程式とは
  2. 仕組み化経営×生成AIで爆速回転させる
  3. マネジメントとは実行確率を上げること
  4. 教育には教えるタイミングが存在する
  5. ラーニングピラミッドで勉強の成果を最大化
  6. コミュニケーションとは実行確率を上げる手段
  7. 「仕組みが人を動かし、人が仕組みを動かす」がもたらす成果とは
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