増進会,Z会栄光HD
(写真=増進会出版社HP)

5月19日、難関大学受験向け通信教育大手の「Z会」を運営する増進出版社が、学習塾大手の「栄光ゼミナール」を経営する栄光ホールディングス <6053> に対しTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOB価格は1株につき1,550円。買収総額は137億円にのぼる。

この決定を受けて、株価も急騰している。TOB発表前は1,134円だった栄光ホールディングスの株価は、その後、TOB価格にさや寄せする形で上昇している。

小中学生の受験対策を得意とし、対面で指導する栄光ホールディングスと、高校生の難関大学受験を通信教育で展開するZ会。お互いの得意分野を生かし補完し合う形で協力体制を一層強化する。


少子化により経営転換を迫られる学習塾業界

学習塾業界は団塊ジュニア世代の受験戦争の激化に歩みを合わせて成長してきた。少子化の進展に伴い学習塾全盛期も終わり大学全入時代へ突入。文部科学省「子どもの学習費調査」・「学校基本調査」によると、学習塾の対象となる若年者層の人口は2020年には約2,015万人、2040年には約1,467万人まで減少していくと予測されている。

今は学習塾業界の市場規模は1兆3,000億円前後で横ばいが続くが、今後は若年者層の減少に合わせて市場が縮小し、学習塾業界も競争は激しくなるだろう。

学習塾の中には需要が落ち込む国内市場だけをターゲットにするのではなく、海外に活路を見出そうという動きも活発になっている。


大手学習塾は海外進出を積極化

「公文式」で有名な日本公文教育研究会は、1974年から海外に進出している。米国を皮切りに今では48の国と地域で教室を開設。生徒数281万人と、国内の生徒数146万人を大幅に上回るまでに成長している。

栄光ホールディングスも海外進出に積極的に乗り出しており、2013年にはベトナム・ハノイに学習塾を開設。ベトナム在住の日本人生徒向けの教育だけでなく、ベトナム人に対して日本語教育なども行っている。