企業の存在価値は理念の中にあり

『中古を活かした素晴らしきIT社会を実現する。リングロー』

これが、同社のブランドスローガンだ。目的は利益ではない。仮にどれだけ規模が拡大しても、自分が目指すビジネスでなければ意味がない。同氏は何度か、「そういう売り方をしなければいけないなら、こんな会社やらなくていい。続けなくてもいい」と言い放ったことがある。

同氏が目指すのは、社会に価値を与えるビジネスだ。もちろん、言動の不一致は許されない。だからこそ、同氏は社員への理念教育を徹底し続けている。


メーカーの制約を受けない中古販売

OA・IT機器販売は、販売店にメーカーの制約があるのが当たり前。A社と特約を結ぶと、ライバルB社の製品は扱えないなどの「縛り」が発生する。ユーザーが求めているのは、A社とB社の製品特徴を比較した提案を受けることだが、それが許されない巨大な卸売システムが出来上がっている。

そこに巻き込まれず、ユーザーの満足を優先した販売を行う手段のひとつが、同社のような中古販売というわけだ。中古品であれば、メーカーによる制約はない。さまざまなメーカーの製品を扱え、ユーザーに適した提案ができる。

単に儲けたいのなら、どこかのメーカーの傘下に入れば良い。売上も立てやすく、販売店・代理店としてさまざまなサービスを行えるようになる。しかし、同社はすべて蹴ってきた。


パートナー企業も巻き込んで

同氏は、顧客満足の追求こそが、リユース業界発展のカギであると考える。中古には、「汚い」「壊れる」といった負のイメージが未だ付きまとうからだ。これらを払拭させるためには、顧客の声に耳を傾け、価値ある中古を提供していかなければならない。

しかし、これは一企業の取組みだけでは限界がある。だからこそ、パートナー企業と手を取り合い、顧客満足を追求することで、リユース業界を発展させていきたいのだ。そうでなければ、地球規模で起こっている資源の枯渇や、不均衡を解決することはできないと考える。