リングロー・碇氏が譲れないこと

同社が目指す事業は創業時から変わっていない。リユースの仕組みを構築し、世界中の資源の有効活用を進めること、そしてパソコンの機能がもっと有効活用される世の中を創ることだ。

大量に生産されたパソコン、スマートフォン、タブレットは、短期間で買い換えられ、まだじゅうぶんに使えるものが日々廃棄され続けている一方で、世界には普及自体が進んでいない国もたくさんある。リユースを進めていくことで、そういった不均衡を解決することが事業目的のひとつだ。

また、機器を適切に使えていないユーザーは限りなく多い。確かに、最先端の技術が詰め込まれた新製品は、驚くほど高機能だ。しかし、その機能のすべてを使いこなしているユーザーなど、ほぼいない。法人が高いコストを払って導入した最新のシステムも、実際はそこまでの機能は必要ないケースがほとんどだ。

新しい技術が社会に馴染むには数年を要する。それまでの間、現在のユーザーのニーズに即した使い方を提案するのが同社の役割だ。


追い求めるのは顧客満足のみ。収支ギリギリを徹底。

同社の目的は、商品を売って利益を得ることではなく、その商品を使うことでユーザーにどれだけのメリットがあるか。商品を提供することではなく、提供された商品でユーザーが何をできるかにある。

顧客満足を追求すれば、利益は後からついてくる。買取を依頼されたパソコンも、少し手を入れれば使える場合、そう提案する。売上が欲しいなら、下取って別の商品を販売するのが通常だ。しかし、同社は「これなら数千円で直りますよ。まだまだ使えますよ」と提案してしまう。ユーザーの買い換えコストを浮かせるばかりでなく、使い慣れたマシンに愛着があるユーザーであれば、なおのこと喜んでもらえる。

鼻先にぶら下がった利益は眼中になく、顧客の満足だけを追求する。収支はギリギリを徹底。顧客が必要ないものを無理に売りつけることは絶対にしない。それがリピーターを獲得するコツだ。