本記事は、村井 一雄氏の著書『僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

働くのが「辛い」「面倒くさい」と感じる2つの原因
通勤電車に揺られているビジネスパーソン、もしくは自分の姿を思い浮かべてみてください。
精気の抜けた顔で座っている、どこか疲れた表情で吊り革をにぎっている、そんな姿が思い浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学生時代、私もそんな人たちの姿を見て、仕事ってつまんないんだろうな、辛いんだろうなと思っていたこともありました。
もしかしたら、まだ学生の方などは、当時の私と同じようなことを感じ、働くことに不安やマイナスイメージを持っているかもしれません。
本書を読んでいるビジネスパーソンの中には、通勤電車に乗るたびに、「通勤するのだるすぎる」「今日、会社に行くの、いやだなー」と憂鬱になる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、通勤電車に揺られている人が辛そうに見えるからといって、仕事が辛いわけではありません。
通勤電車は誰にだって辛いもの。しかし、それを乗り越えて職場に行けば、通勤時間で感じた辛さを余裕でかき消す幸せが得られる可能性が待っています。
一方で、働くのが辛い、面倒くさいという人もいます。
私は、働くのが辛い、面倒くさくなるのには、大きく2つの理由があると思います。
1つは、仕事がうまくこなせていないことです。
仕事がうまくいっていない=仕事で得られる幸せもないのですから、辛いのは当たり前です。
もし、仕事で得られる幸せがあるのであれば、通勤が楽しくなるということはないとしても、通勤ごとに憂鬱な気持ちにまではならないのではないでしょうか。
仕事がうまくいかない理由は、自分自身の問題だけではない場合もあるので一概にはいえませんが、日々仕事をこなしていき、経験を積んで、周りから「プロ」と認められるような人材になることが、仕事がうまくいくようになる一番の近道ではないかと考えます。
その道自体が辛い、大変だということはあると思いますが、道もわからずゴールも知らずに歩んでいるのと、道とゴールがはっきり見えている状態で歩んでいるのとでは、その途中の辛さが違いますよね。
だからこそ、「プロになる」というゴールをもって(「プロ」になってからも新たに「プロ」としてのスタートを切ることになりますが)、まずはそれを目指して働くことはとても意義のあることだと思うのです。
働くのが辛い、面倒くさくなる理由の2つ目は、周りと合わないということがあります。
法律無視のブラックな会社やハラスメントが多い会社などは論外とはいえ、会社の数ほど求められる働き方が違いますし、そこで働く人がどういう人かによって職場環境も違うため、会社に合う、合わないというのはあります。
そのため「一生懸命に働いても、周りから評価されない」「いつまでたっても仕事が終わらない」などと感じて、働くのが辛い、面倒くさくなるということがあるのだと思います。
もし今の会社が「合わない」「働くのが辛い」と感じるならば、転職などを考えるのも1つの手です。
ただし、注意しておきたいのが、自分の働き方を今一度見直してほしいということです。
自分が会社で与えられた役割を果たしているのか、与えられたものをこなすための行動を実践できているのかということです。
そこがうまく実践できていないがために、評価されない、なにをやっても仕事がうまくいかずに、働くのが辛い、仕事が嫌いという結論にいたってしまっているということではないでしょうか。
もし、あなたが会社から求められていることを実践できて、周りから評価されたり、仕事がうまく運ぶようになったりすれば、実はあなたに合う職場かもしれません。
また、自分自身で働きやすい環境をつくることも大切です。
辞めることが決まったあとで、「自分は会社についてこういう風に思っていた」「仕事でのこういうところが不満だった」と話してくる人がいます。
話を聞いていくうちに「確かにうちとは合わないかも」と思うことも多いですが、「もっと早く言ってよ、言ってくれていたら改善できたのに」と後悔を覚えることも少なからずあります。
もちろんそういったことを拾い上げることができなかった管理職側の問題もあるのですが、エスパーではないので、1人ひとりの隠された気持ちまで気を配れないことがどうしてもあります。
言ってなにも改善されなかったり、納得のいく説明がされなかったりすれば、合わない会社だと判断すればいいだけの話です。
言わずに辞めてしまうのは、非常にもったいないことです。
あなたも、会社という環境の一要素なのですから、まずは、自分自身で働きやすい環境に変えるための行動を起こしてみてはどうでしょうか。
すぐに「この会社は合わない」と断じて、次の会社を探すのではなく、まずは自身の在り方を見直してみることをおすすめします。
それは単純に、あなたの能力がないとか、仕事にやる気がないとかいうものではなく、「働き方のコツ」を知っているか、理解した上でそれを実践できているかどうかです。
それを知らなければ、たとえ次の会社に移ったとしても、また「周りから評価されない」「仕事が終わらない」と悩むという同じ轍を踏んでしまう可能性が高くなってしまうのです。

1976年生まれ。京都府出身。
未経験で設備設計の世界に入り、28歳で独立。
その後、2016年に会社の名称を株式会社中之島設計に変更。
「気付かれない設備」をモットーに、ホテルや学校、駅、庁舎、商業施設などの設備設計を請け負っている。
また、中途採用が当たり前で、高齢化が進む業界の中で、業界の未来のために、未経験者の新卒を1から育てることをはじめ、教育体制の充実や人事制度の策定などにも力を入れている。
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