本記事は、村井 一雄氏の著書『僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?
(画像=taa22/stock.adobe.com)

「無責任」な「責任」を持って仕事をする

何度もミスを犯す人が言いがちな言葉があります。
「上司にも確認してもらったんですけどね……」

このような言葉をよく使う人は、間違いを反省することもなく、責任を他人にかぶせてしまうタイプです。
他人にミスの責任の一部でも押しつける人は、あまり反省しておらず、また同じミスを繰り返すことが実に多いのです。

もちろん、慣れないうちは、上司が仕事の面倒をいろいろと見てくれるでしょうし、部下になにかあったときの責任は上司がとるものです。
しかし、いくら上司が面倒を見ていても、自分がこの仕事を成功させる責任者なんだという思いを持って仕事をしないと、いつまでたっても成長できません

助手席に乗っているだけで運転技術は身につきません。
自分で車を動かすからこそ、事故を起こさない運転技術が身につくのです。

仕事も同じです。
早く仕事ができるようになりたいなら、どんなに入社したてであっても、自分が100%の仕事をするという気概と責任を持って仕事に取り組む必要があります。
もし、ミスがあったときは、すべて自分の責任だと思って仕事していないと、気のゆるみから同じミスを繰り返してしまうものです。
とはいえ、フォローをしてくれる上司に小まめに相談して、助けてもらうところは大いに助けてもらえばいいですし、なにかあっても最終的には上司が責任をとってくれます。
ただ、あなたもいずれ責任をとる側になります。

無責任で許される時期に責任を持って仕事をするクセをつけておかないと、周りに「プロ」だと認められる人にはいつまでたってもなれないでしょう。

理不尽な人と仕事をするときに大切なこと

十人十色とはよく言ったもので、仕事をしていると、さまざまな人と出会いますが、残念ながら、いい人ばかりではありません
決してあってはいけないことですが、いまだに女性差別や年齢差別をするような人に当たることも本当にまれにあります。
「もっと偉い人を担当にしてください」「経験のある方に仕事をお願いしたい」といったレベルならまだしも、なかには、「若い女性担当者をあてがうなんて、ウチの会社を軽んじているのか」とねじこまれた経験もあります。

このような人に出会ってしまった場合、もちろん社員を守ることが第一なので、不当なハラスメントや精神的攻撃を受けた場合は、会社として対処を検討します。
ただ、もし会社がしっかりとフォローしてくれるというならば、一度ぶつかってみると、成長速度が上がることは間違いありません。
手ごわい敵を攻略すれば経験値もたくさん入るといった、ロールプレイングゲームと同じです。
昔はそれこそ、そのような人に遭遇する確率が今よりも高かったので、私も何件もそのような威圧的な態度をとる困難なクライアントを経験しました。

一度経験してみると、同じようなクライアントに遭遇したときの対処法がわかるだけでなく、まっとうな担当者との仕事が本当にラクに感じるようになりました。
そして、その手のタイプは、案外一度認めると、ころっと態度が変わることも多いように感じます。

私も独立をしたての28歳のとき、初めて仕事をするクライアントに、次のように言われたことを今でも覚えています。
「君は若いから、設計料は、普通の人の半額でいいよね」
「いろいろと教えてあげるから、授業料だと思って」

若かった私は、激高してそのクライアントと言い合いになりました。
この仕事がなくなってもいいと思っていた私でしたが、最終的には先方から、「根性があるな」と言われて、それ以降、仲良くなり、仕事を継続していただくことができました。

ハラスメントまがいのことを言ってくるクライアントと当たる場合は、社内全体を巻き込み、いつも以上に念入りに情報共有や相談を行いながら仕事を進めてください。
周りも「大変そう」という思いがあるので、いつもより協力してくれるはずです。

1人で抱え込むのは、絶対にやめたほうがいいです。
そして、「もし怒らせても、最後は会社が責任とってくれるんだから」と臆することなく、自分の経験値を高めるためのイベントと割り切って、今、持てるすべての力を使って、対等なコミュニケーションを図るようにしましょう。

自分のことを卑下するような相手と話したくないかもしれませんが、この手のタイプは相手が自分に対して苦手意識を持ち、一定の距離感を保とうとしていることがわかると、その間合いを詰めて攻勢に出ることが多いものです。
逆に積極的に、感情的ではなく、事実ベースのみの論理的なコミュニケーションをとることが攻略の秘訣です。
繰り返しになりますが、たとえ、やっぱりうまくいかないとなったとしても、その経験は大きな糧になることは間違いありません。

僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?
村井一雄(むらい・かずお)
株式会社中之島設計 代表取締役
1976年生まれ。京都府出身。
未経験で設備設計の世界に入り、28歳で独立。
その後、2016年に会社の名称を株式会社中之島設計に変更。
「気付かれない設備」をモットーに、ホテルや学校、駅、庁舎、商業施設などの設備設計を請け負っている。
また、中途採用が当たり前で、高齢化が進む業界の中で、業界の未来のために、未経験者の新卒を1から育てることをはじめ、教育体制の充実や人事制度の策定などにも力を入れている。
僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?
  1. 周りに認められている人は、なにが違うのか
  2. 最短で仕事ができる「プロ」になる働き方とは
  3. 仕事ができる人は、お守りを持っている
  4. 「プロ」になる道半ばで挫折しないための心得
  5. チーム力を育てられる人になるために
  6. 自分を成長させてくれる会社選びのコツ
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