本記事は、村井 一雄氏の著書『僕らは、なにを武器に働けばいいのだろうか?』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

あなたは大丈夫? 納期を守れない人の3つの特徴
今まさに、納期に間に合わない、納期に納品しても突き戻されてしまい、仕事がなかなか完遂できないことに悩んでいる方はいませんか。
仕事が完遂できないのにはいろいろな要因が絡んでくるので、ひとえに、あなたがすべて悪い場合ばかりではないでしょう。
ただ、完遂できないことが多い人に、共通する働き方があります。
そのような働き方をしている限り、「完遂力」は身につきません。
そこで、次から紹介する仕事が完遂できないタイプの働き方をしていないか、一度、自分の仕事ぶりを振り返ってみてください。
まず1つめのタイプ「イメージ欠如型」から説明していきます。
仕事の目的、求められていることがイメージできないままに、クライアント、もしくは上司から「これをしてください」と言われたままの作業を実行しはじめてしまうタイプです。
クライアントからの指示がしっかりしていれば、仕事は完遂できることが多いものです。
しかし指示があいまいだったり、クライアント自身がしっかりイメージできていなかったりすると、最終的にできあがったものは、クライアントが求めているものとかけ離れてしまいます。
当然、やり直しが多く、仕事が完遂できないことになってしまいます。
もしくは、最初はイメージできていても、度重なる変更でイメージがこんがらがってしまい迷走してしまうということも、このタイプには多いです。
このタイプは、まじめな人が多いように感じます。
大切なのは、クライアントへ相談してイメージを共有することです。
必要とあれば何度でも相談して、自分とクライアントが、少なくとも「仕事の5W1H」をしっかりと情報共有できているのかを確認しましょう。
「仕事の5W1H」とは、
What=なにをつくるか
Where=どこにつくるのか(どこで売るのか)
Who=誰のためにつくるのか(誰のために売るのか)
When=いつまでに(納期)
Why=なぜつくるのか(最終的な目的)
How=どうやってつくるのか(予算や手法の制限)
といったものです。
このような情報を共有し、なおかつ、どういうものかをあなたがきちんとイメージできてクライアントに伝えられれば、納品後の齟齬は防げるはずです。
「何度も説明させるな」とクライアントから言われたら……と不安になるかもしれませんが、「お時間とらせて申し訳ないですが、お互いのイメージが違って、結果いいものが提供できないかもしれませんので……」と前置きをして、尋ねていくようにしましょう。
「この内容で進めると最終的にはあなたが困りますよ」とクライアントに暗に思わせることも大事です。
次に、「向こう見ず型」です。
簡単に言えば、ぼんやりとした計画でスタートする人です。
このタイプは、いろいろな仕事が重なって忙しい方や、働いて何年か過ぎている人が多いようです。
私たちは、完成形をしっかり頭にイメージして、それに従って予算に見合った仕事の仕方を考え、納期に間に合わすためには、いついつまでになにをするという工程計画を立てていきます。
それができれば、今日、自分はなにをやらなければならないのかが見えてくるわけです。
ところが、なまじ経験があるがゆえに、目の前の仕事に追われていて忙しいと、「まぁ、経験上なんとかなるだろう」と計画を立てないままに仕事にかかる人がいます。
これが「向こう見ず型」です。
自分の経験上の想定内ですめばなんとかなるのですが、想定外の出来事が必ず1つや2つ起こるのが仕事です。
別の仕事が舞い込んできたり、ほかの仕事でトラブルがあったり……。
こうなると、全体的な仕事量が見えなくなってしまい、自分が限界で、もうアウトな状態でも、誰になにを手伝ってもらうのがいいのか判断つかず、仕事を手伝ってほしいと頼むことすらできない。
そして、こんなに仕事を取ってきた会社が悪いと開き直ります。
結果、他人のせいにして間に合わないという状態に陥ってしまうのです。
計画を立てるのは面倒くさいと思うかもしれませんし、忙しいときは、その時間があったら仕事を少しでも進めたいという気持ちはわからなくはありません。
ですが、1つの仕事が遅れたら、次の仕事も遅れ……という、「延滞ドミノ」に陥る危険性が高いので、今すぐ「計画ファースト」の仕事を心がけるようにしてください。
最後に、「引きこもり型」について説明します。
人の意見やアドバイスに耳を傾けることなく仕事を進めてしまう人。
とにかく、自分の仕事は自分で片づけなくてはいけないと思い込んでいるタイプです。
「迷惑をかけたくない」という思いが強すぎて、行き詰まっても相談することなく、1人で問題を抱え込みがちです。
抱え込んでも自身で修正できれば、傷は浅いのですが、往々にして問題がこじれ、取り返しのつかない事態を招いてしまいます。
その結果、周囲のスタッフにも塁が及び、残業、徹夜作業、そして金銭的損害が生じることも少なくないのです。
「迷惑をかけたくない」という思いは、結果的に迷惑をほかの人に感染させるウイルスになりかねません。
会社は、同じ目標を達成するためのチームです。
困ったことがあれば相談、助け合うことは、当たり前のことだと思い、臆おくすることなく、周囲とコミュニケーションをとることです。
もし、さまざまな相談をしたときに、「自分のことは自分でなんとかしろ」となんのアドバイスもくれない人ばかりでしたら、そこはあなたが「プロ」としての道を歩んでいく会社としては不適切な場所だといえるのかもしれません。
いかがだったでしょうか。
あなたが、当てはまる、もしくは当てはまりそうなタイプはありましたでしょうか。
これまでにも述べてきたように、仕事で得られる喜びは、仕事を完遂して得られるものが多いです。
そして、その喜びが「プロ」として歩むエネルギーとなります。
自分のためにも、会社というチームのためにも、「完遂」を第一に考えて働いてみてはいかがでしょうか。

1976年生まれ。京都府出身。
未経験で設備設計の世界に入り、28歳で独立。
その後、2016年に会社の名称を株式会社中之島設計に変更。
「気付かれない設備」をモットーに、ホテルや学校、駅、庁舎、商業施設などの設備設計を請け負っている。
また、中途採用が当たり前で、高齢化が進む業界の中で、業界の未来のために、未経験者の新卒を1から育てることをはじめ、教育体制の充実や人事制度の策定などにも力を入れている。
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