本記事は、大岩俊之氏の著書『とにかく「伝わる」伝え方図鑑』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

コミュニケーション
(画像=sdecoret / stock.adobe.com)

相手の名前を呼ぶのは効果絶大

【具体例】
(ざわざわしている中で)○○さん、どこにいる?
→本人が「呼びました?」と登場する。

カクテルパーティー効果
騒がしい環境であっても、興味・関心がある話題は自然と聞き取れるという効果。

自分の名前を呼ぶ声や友人との会話は、人が多いパーティー会場(カクテルパーティー)でも聞き分けることができます。このようなことから、カクテルパーティー効果と呼ばれるようになったと言われています。

飲み会に参加した際、ある町名を言ったつもりが、ある人の苗字と同じだったようで、その人が「私のことを呼びました?」と聞きに来て、ビックリしたことがありました。自分の名前は、どんなときでも聞き分けられるようです。

「○○さん」と人の名前を呼ぶと、少し離れていても、周りが騒がしくても、必ず相手に伝わります。それだけ、人の名前を呼ぶのは大切だということです。

この効果は、相手に何らかの印象づけをしたい場合にも利用することができます。何度か声に出すことで、その内容を意識させることができるのです。

例えば、工事現場で「安全」の意識を高めるために、何度も「安全」を連呼する、といった具合です。家電量販店に行くと聞こえてくる音楽も、無意識のうちに刺激を与えています。

しかし、なかにはカクテルパーティー効果の薄い人もいるようです。私は、音に敏感すぎるあまり、人が気にならない音まで聞き取ってしまうため、逆に大切な言葉を聞き逃すことがあります。ほかには、五感の感覚が鈍い人も、聞き分けるのが苦手なようです。

人は自分と似ている人に心を許す

【具体例】
(相手) 愛知県出身です。
(自分) 岐阜県出身です。
→東海地方出身ですね。

共通点の法則
自分と共通点を持つ人に親近感を覚える心理作用。

みなさんが身近でよく会う人を思い出してみてください。共通点は何でしょうか。

多くの人は、「幼なじみ」「学生時代の友人」「会社の同期入社」「ゴルフ仲間」というように、必ず何らかの共通点でつながっているはずです。

ちなみに、私が最近よく会う人は、「〇〇出版社で本を出した仲間」「キャリアコンサルタント資格を一緒に学んだ仲間」「X(旧ツイッター)で知り合った仲間」などです。

「〇〇出版社」とありますが、この出版社は以前、著者を集めて毎年パーティーを開催してくれていました。それがご縁で、仲良くしている人が多いのです。

接点がない人と仲良くなることは、ほとんどありません。そのため、普段から自己開示をして、「自分は○○です」と知らせなければなりません。

例えば、「〇〇県出身」などは、話題としてちょうど良いでしょう。地元に住んでいると、〇〇県△△市と〇〇県□□市は別物と捉えてしまいますが、他の県で会った場合、出身地が同じという認識になるはずです。

相手と共通点を見つけるためには、完全一致を目指すのではなく、似ていれば共通点とすることです。応援する球団が違っても、野球が好きならそれは共通点です。

言葉は、知っている相手や心を許した相手には伝わりますが、知らない相手には伝わらないことも多いものです。人と出会ったら、まずは共通点を探しましょう。

早く打ち解けるには座る位置も大切

【具体例】
(席は自由です) あの人と仲良くなりたいから、隣に座ろう!

スティンザー効果
会議など複数人が集まる場において、座る位置が他者との関係性に影響を与える効果のこと。

スティンザー効果とは、アメリカの心理学者スティンザーが、小集団における心理的効果を研究して発見したもので、3つの原則があります。

1:正面に座る人は反対意見であることが多い。過去に対立した人も正面に座りやすい。
2:ある発言の後には反対意見が出ることが多い。
3:議長の主導権が強い場合は隣同士、弱い場合は正面同士で私語を交わすことが多い。

これらの効果を会議で活用していくためには、対立するつもりのない人の正面に座ることは避けた方が無難です。反対意見を述べる場合であっても、正面からだと攻撃性が強くなってしまうため、斜めに座るのがいいでしょう。面接や面談を行う場合も、正面ではなく、斜めに座るのが望ましいでしょう。

仲良くなりたい人がいる場合は、隣に座るのがオススメです。2人だけで会話をする場合は、90度の位置で座るのがいいでしょう。心理カウンセリングを受ける場合などは、正面よりも90度の位置の方が、本音がしゃべりやすくなります。

普段、座る位置についてはあまり深く考えてはいないかもしれませんが、良好な関係を築くためには、相手の正面には座らない方が良さそうですね。

『とにかく「伝わる」伝え方図鑑』より引用
大岩俊之(おおいわ・としゆき)
セミナー講師/ロールジョブ代表
名古屋大学大学院教育発達科学研究科卒。大学で認知科学、認知心理学、大学院では、教育学、学習心理学を学ぶ。現在は、消費者心理学を研究中。
電子部品メーカー、半導体商社、パソコンメーカーなどで、法人営業を経験。売り込んだことがないのに、どの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
未経験でセミナー講師として独立してみたものの、講師としてのレベルが低く、参加者や主催企業からの厳しいフィードバックに耐えきれなくなり、講師の道をあきらめかける。産業カウンセリング、キャリアカウンセリング、NLP、コーチングなどを学び、人の心理を考えた「伝え方」を研究、実践したことで、営業、コミュニケーション、リーダーシップ、プレゼンなどの「呼ばれる講師」として、年間100日以上登壇する講師となることができた。これまで、13,000人以上に指導してきた実績を持つ。伝え方プレゼンスクールを主催し、経営者、エンジニア、セミナー講師などに指導。コンサル会社、新聞社などの講師にも、講師力アップ養成講座を行っている。
著書に、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『1年目からできる! セミナー講師超入門』(実務教育出版)、『売れる言いかえ大全』(フォレスト出版)など合計14冊がある。

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