平均株価2万円からの投資戦術
(写真=株主手帳2015年6月号)

4月末に急落したとは言え、東京市場は依然として強含んだ展開だ。平均株価が沸いた途端、叫ばれ続けてきた言葉が何処かへ飛んでいった。「高値警戒感」だ。東京市場が新たな局面に入った今、投資家にとって大切なのは新たなモノサシであろう。PERも適正水準は18倍と言われてきたが、平均株価2万円時代でも同じで良い筈がない。本特集を参考に新・投資戦術を構築してもらいたい。

(取材・文/経済ジャーナリスト 千葉 明)


地固めに必要な代表株トヨタ自動車の株価推移に注目

兜町のマーケットストラテジストを訪ね歩いたのは、1度はザラ場(日経平均株価が)で2万円大台をつけながらも以降「1万9000円台後半から終盤」でもたつき商状となっていた最中だった。

本誌が読者諸氏の目に触れる頃は、2014年3月期決算(15年3月期計画)のピークを越えている。本誌編集部の基本姿勢は「新年度の増収増益基調をあらためて確認し、相場は2万円台への移行を明確に示す」というもの。が相場に絶対はない。「もたつき気味」の市場と日々向き合っている市場戦略部隊長の見方を聞くためだった。ストラテジストの認識を収斂すると、次のような具合だった。

①2万円相場の本格的始動の時期は、市場のみが知る。

②外部要因の動向いかんで海外投資家の日本株への姿勢が、あらゆる点でポイントとなる。

③がいまの拮抗相場は、経験則から見て「2万円台への序奏」と捉えるのが常套。

市場ストラテジストが15年来の株価水準を奪還したいま、弱気を吐くはずがないではないか。そんな声も見識。が「官製相場」と指摘される中での「もたつき」状況下でも、相場の行く末を占う意味でカギを握る海外勢の手が緩んでいない(別掲参照)のも事実。取材の矛先を「2万円相場を定着させるための牽引銘柄は何か」に移した。