武田薬品の上昇が示す「バブル」論 更なる上昇も期待
バブル相場・崩壊の教訓を忘れたのか、とする識者も少なくない。主たる論拠は日銀・政府一体の異次元的大金融緩和による「つくられた相場」論。そしてそう指摘する面々が「現にバブルの芽が起こっている。これをバブルと言わずなんと説明するのか」と槍玉にあげるのが「薬品株」。
確かに1989年12月末の史上最高値に対し「TOPIXは47%下値水準に止まっているのに対し、医薬品指数は84%の上昇」「(代表株の)武田薬品工業 <4502> の時価は、予想PERで70倍を悠に超えている」等々を突きつけられると、咄嗟の反論に窮す。
しかし収益環境を見ると、「押し目を挟みながら上値追い」期待が捨てきれないのも事実。例えば武田薬品には現にブロックバスター化(従来の治療体系を覆す画期的商品による1000億円以上の売上高となる)必至とされる商品が、またその期待を抱かせる医薬品予備軍が存在している。
前者は昨年6月に米国で発売された「エンティビオ(潰瘍性大腸炎治療薬)」、後者は第三相臨床試験の中間速報に至っている「イグザゾミブ(多発性骨髄炎治療薬)」。方向性は論じられない。「投資家の自己責任判断に委ねる」という以外に言葉を持たない。
■しまむらは拾い場に注目せよ
ただ薬品株もその範疇に入るが、デフェンシブセクターに期待が持てそうな銘柄が少なからず見受けられる。すでに記したセブン&アイHDやコンビニの勝ち組ローソン <2651> など小売業への着目に魅力を感じる。
ファーストリテイリング <9983> もその一社だが、その陰に隠れた感があるしまむら <8227> が提供している拾い場にも注目しておきたい。前2月期は「2・0%の増収、12%の営業減益、12・4%の最終減益」と2期連続の減益となり、連続増配も13期で止まった。
会社側は「今後の個人消費には油断できない状況も」とするが、開示された今期計画は「6・3%の増収、24・9%の営業増益、26・9%の最終増益」と【上向く】との見出しの四季報の独自予想を上回っている。基幹事業の「しまむら店」は22店舗の純増(計1343店舗)予定で、新年度入りの3月の既存店売上高は前年同月比100・3と予定内のペースで立ち上がった。