デフェンシブ銘柄選びにも新機軸

またデフェンシブ銘柄では好業績継続と並行し海外部門の拡充が進む、あるいは材料含みの食品株人気が期待できる。前者ではサントリー食品インターナショナル <2587> 、カルビー <2229> が双璧だが、興味をそそられるのはアナリストの言葉を借りれば「読み切れない思考方式を実行してしまう会社」とされるカゴメ <2811> 。

ちなみに「読み切れない思考」云々は例えばネット通販。カゴメのネット通販の売上高は100億円に迫ろうとしている。昨今急浮上の「オムニチャネル戦略を視野に入れた流れか!?」と思うのは当然。

筆者自身も耳にしたが同社・広報担当者の反応は、「時代の流れによって商品の売り方が多様化してくるのは当然ではないでしょうか。それに当社ではネット通販と店頭販売の商品は全く別物です。オムニとは位相が異なります。通販でしか買えないところが一つの価値、という認識です」とすっきり穏やかだった。が穏やかな口調の裏に「迎合ばかりが商法ではない」といったニュアンスを感じたものである。

とにかく、海外子会社の資金調達に際しペースト状化したトマト(いわば半製品)を動産担保として活用し大手行から融資を奪取!?した企業。確かに一筋縄ではいかない会社である。そんなカゴメが今度は(4月中旬)、「米国の食品会社PBIを96億円で買収した」と発表した。ここにきて同社の海外戦略の照準は米国のレストランに当てられていた。

PBI社は、エスニック系加工食品を米国・インド・オーストリアなどで展開してきた企業。“エスニック"は従来のカゴメ製品とは縁が薄い。今回はどんな思考回路でのM&Aだったのか。極々身近な商品で馴染み深いが、その一風ユニークな経営展開をみせるカゴメに妙に投資妙味を覚える。移動平均線(チャート)の動きは「2000円台への移行」を示唆している。