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(写真=PIXTA)

2015年7月5日(日)ギリシャは国民投票を行い、7月6日(月)午前8時現在(日本時間)では財政緊縮案が否決される情勢です。これを受けて、本日(7月6日)の世界の金融市場の変動は高まる可能性があります。当レポートでは、この動きについてご報告します。


ユーロ相場は下落

国民投票の結果を受けて、ユーロは対円で136.43円から134.88円へ▲1.1%下落しています。また対ドルでは、1.1114米ドルから1.1023米ドルへ▲0.8%下落しています(Bloombergベース。7月3日(金)終値から7月6日(月)午前8時(日本時間)で算出)。

ただし一旦下落した後は横ばいの動きとなっており、またギリシャの財政危機懸念が注目を集めた今年3月13日および4月13日の水準は上回っています。


今後の相場動向について

ギリシャ財政救済の先行きが不透明であるため、週明けの株式相場など、世界の金融市場の変動が高まる可能性があります。ギリシャの債務がどのように整理されるか、またユーロ圏離脱の可能性など不透明感があり、短期的な変動が続く可能性はあります。

ただし直接的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)への影響は限られていると考えられ、世界の金融システムが打撃を受けたり、世界のリスク資産が構造的な中期下落局面を迎える可能性は大きくないと思われます。

①ギリシャ以外の世界の金融システムが大きな打撃を受ける可能性は現状大きくないと思われます。ギリシャ政府およびギリシャの金融システムへの債権を保有するのは欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)など公的機関が中心で、民間の保有は限定的と見られています。

また、ECB、IMF連合で約150兆円と言われる資金で安全網を構築していることから、欧州金融システムの安定性維持は十分可能と思われます。

②南欧諸国は既に財政再建の基盤を固めつつあり、深刻な影響が生ずる状況ではないと考えられます。また、これまで長期金利の低位安定などユーロ加入の恩恵を受けており、ギリシャ問題が南欧諸国に飛び火し、ユーロ圏の枠組み全体が不安定となる動きは今のところ想定されません。

③ギリシャは7月1日にIMFへ資金返済を行わなかった時点で、既に実質的な債務不履行状態にあります。今回の国民投票の結果は投資家心理に悪影響を与える可能性はありますが、ギリシャ国内の金融システムの混乱を既に市場は部分的には織り込んでいます。また安全保障の観点からギリシャの債務再編に向けて、EUやECBが積極的に対応する可能性があります。

心理的影響で世界の株式などリスク資産が軟調となれば、投資機会となる可能性もあります。冷静に状況を見極めることが肝要と思われます。(提供: フィディリティ投信 )

為替レートの推移
(画像提供=フィディリティ投信)

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