ビール
(写真=PIXTA)

7月入り全国的に猛暑日が続き、ビールがおいしい季節になってきた。例年ならば、仕事帰りに居酒屋で、あるいはビアガーデンで一杯が定番だが、今年のトレンドは「ちょい飲み」で、居酒屋以外の普段慣れ親しんだカフェやファーストフード、牛丼チェーンなどの外食店が盛況だ。お酒をサクッと楽しめるお手軽メニューが充実し、本格的な夏の突入を前に、早くもこの「ちょい飲み」を巡る熱き商戦は始まっている。


アルコールに低価格おつまみメニューが充実

サラリーマンの強い味方、牛丼チェーンの吉野家 <9861> は、この「ちょい飲み」需要を取り込もうと、都市部の店舗を中心に「吉呑み」「吉呑みチョイ」を展開。店内では生ビール、角ハイボール、焼酎などのアルコールメニューに、牛煮込みや一口ガンモなどおつまみメニューを揃える。また、お酒を楽しめるように内装も、テーブル席を配置したり、喫煙室を設置したりして、会社帰りのサラリーマンやグループ、カップルでの利用をターゲットにしている。

ライバルの牛丼チェーン店もちょい飲み市場に参戦。松屋 <9887> は、おつまみとして牛焼肉や豚キムチなどと組み合わせた生ビールセットの販売を開始し、先行するライバル吉野家とともにちょい飲み客の取り込みを狙う。


女性もカフェで「ちょい飲み」

会社帰りにちょっと飲みたいのは男性だけに限らないが、女性客が牛丼チェーンで「ちょい飲み」を楽しむのは少しハードルが高いかもしれない。そうした女性のニーズに応えるために、カフェチェーンもちょい飲みの場として利用されつつある。

カフェ&バー プロントでは、ビールだけでなく、女性客を意識したカクテルやグラスワインのラインナップに加え、8種類のおつまみから1つとアルコール類を含むドリンクを組み合わせた、平日限定20時までのお得なバールセットが人気だ。

さらに、牛丼チェーン・カフェの他、ファミレスチェーンも「ちょい飲み」を有望な市場として捉えている。すかいらーく <3197> 傘下のバーミヤンでは、すぐに用意できるおつまみやお酒に合う一品料理をメニューに取り入れ、中瓶ビールと焼き餃子のセットメニューも設定している。

ハイディ日高 <7611> が駅前などに多く展開するラーメンチェーンの日高屋でもお手頃価格でおつまみを提供。これが「ちょい飲み」したいサラリーマンなどから猛烈な支持を受け絶好調で、駅前の大手居酒屋チェーンから客足を奪っているという。


ちょい飲み参入組は当面追い風、居酒屋チェーンは客離れ懸念

牛丼チェーンやカフェ、ファミレスなど「ちょい飲み」市場に参入した店舗は、いまのところターゲット層がそれぞれ異なるため、一旦は相乗効果で「ちょい飲み」市場の活性化が期待できる。市場が成熟した際に、ターゲットを同じにするライバル店といかに差別化を図れるか、あるいはより幅広い層から支持を得られる戦略を立てていくことができるかが今後の顧客定着のポイントとなるだろう。

逆に居酒屋チェーンにとっては、「ちょい飲み」市場の拡大は脅威となりそうだ。しっかりした対策を練らなければ、深刻な客離れに直面する可能性もある。(ZUU online 編集部)

【関連記事】
海外セレブはなぜ巨額の寄付をするのか?
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
日経新聞・四季報などがネット上で全て閲覧可!?その意外な方法とは
大人気『プレミアム商品券』の裏で混乱を招く自治体の「見通しの甘さ」
NTTを超える数兆円超の上場?元国営3社のIPOに迫る