国からの交付金を利用し、額面より安く購入できる「プレミアム商品券」が各地で大人気だ。上乗せ率20%の商品券を1万円で購入すれば1万2000円分の買い物ができる。差分である「プレミアム」は、税負担でまかなわれている。

プレミアム商品券は、2014年度の緊急経済対策で捻出された地方自治体への交付金の活用法として始まったもの。地域での消費喚起と経済活性化を目的とした「官製商品券」だ。

発売以降、発売会場で1000人を超える行列ができたり、数分で売り切れた自治体も現れたりするなど、各地で大人気だ。人気に応え、一部では30%上乗せする自治体も現れてきた。

みずほ総合研究所によると、「プレミアム商品券」などの発行による消費押し上げ効果は640億円になる試算だ。経済調査部主任エコノミストの風間春香氏は「今回の交付金事業は購買意欲のある消費者の商品購入が前提となっているため、それらの分はほぼ確実に消費につながる政策」だとしており、景気刺激への期待は高い。

一方、恩恵を受けられるのが一部にとどまることや、販売された商品券が転売されるなど、問題は少なくない。

肝心の地域住民の手に入らない?

プレミアム商品券はれっきとした金券だ。自分で利用しても転売しても、それなりの利益が出る。金券ショップは勿論、最近ではネットオークションでも売買できる。

そのため、発券する自治体の住民とはまったく関係ない転売目的の人間が押し寄せ、本来恩恵を受けるべき肝心の地域住民の手に入らないという事態が一部でおきている。

たとえば、販売開始日の午前0時には人が並び始め、明け方には予定数に達してしまう事例もあった。販売に当たって、当初は市民かどうかを確認せず予定数はあっという間にはけてしまったという。

また旅行券の販売が問題になっている。多くの購入者が続出して観光での需要喚起に成果ありと担当者が喜んだのも束の間、多数の商品券はオークション出品されるケースが続出した。

さらに地域住民内においても、予約や購入に平日、特定の会場に足を運ぶ必要がある場合には、購入できる人が限られる。さらに大口購入も可能な商品券の場合は「金持ちほど得をする」との意見もある。

千葉県市川市のスーパープレミアム商品券は5万円で7万円分の買い物ができ、上乗せ率が40%と高く設定されている。また、別の市では先に並んだ人の多くが上限の100万円分の購入を希望したため、すぐに完売し会場に並んだ半数程度の人数しか購入できなかったケースもあった。