安易な販売や準備不足から、購入の制約不備も多発

プレミアム商品券はそもそも「経済活性化」を目的とした施策で、「福祉」目的ではないため、購入できずに恩恵を受けられなくても良しとする意見もある。とはいえ、税金の使い道としては住民の不公平感の解消も重要な課題だろう。

今回はあまりにも拙速にプレミアム商品券の販売を始めてしまったために、準備不足が招いた問題だ。購入額の上限、居住地域の確認の有無、購入のための制約要件の設定や、混乱の元凶となった先着順の販売方法などの見通しが甘いところが多かった。

また、インセンティブがついた金券は二次流通させることで利ザヤを抜くことができる絶好のアイテムであるが、最終的にだれかが実需として利用すればそれなりの効果があることは間違いない。

しかし、こうした転売目的の人間に利益をもたらすようなサービスを、自治体が税金を使って積極的に進める意味が果たしてあるのか。ネットの普及によりこうした金券の売買が実に簡単に行えるようになっているという実情や、その他トラブルに関して多くの自治体は事前想定できていないのだろう。

軌道修正を図る自治体も

一方、ここまでの反省を踏まえ、対策を進める自治体もある。

佐賀県では、購入できなかった住民の声に応え「佐賀わくわくプレミアム商品券」について、再入荷分の販売から、これまでの上限「20セット」から「5セット」に変更すると発表した。

また、茨城県水戸市では、購入者の健康や安全を確保するため,販売方法を「先着順」から「事前申込制」に変更する。

とはいえ、プレミアム商品券のような類の施策は今に始まったことではない。このような地方自治体が行う施策は、実施するたびに課題が露呈することが多いが、こうした各自治体での失敗が、なかなか他の地域でまったく活かされないのも課題だろう。