公募増資でセンサーに投資拡大するソニー
大手電機メーカーのソニーは公募増資と新株予約権付社債の発行により約4400億円の資金調達を発表。新たに株式を発行する資金調達としては26年ぶりだ。調達した資金をもとにスマートフォンなどのカメラに使用するCMOSといった画像センサーの生産能力拡大を目指して、集中的に投資する方針だ。
これまで10年以上にわたりエレクトロニクス部門を中心としたリストラをおこなってきたソニー。リストラも一息ついたと判断し、公募増資などにより得た資金をもとに成長が見込める分野を強化していく。
ソニーもGE社と同様に事業ポートフォリオを変化させ、自社の競争力を強化しようともがいているのが現状だ。
ソニーとGEとの共通点
GE社は金融事業を売却した資金を基に製造部門の強化を図り、ソニーは公募増資などにより得た資金を基に画像センサー部門を強化しようとしている。金融部門の売却と、画像センサーの生産能力強化という一見すると、異なる動きだが、共通点もある。
GE社は儲かってはいてもナンバー1か、ナンバー2になる可能性が低い事業からは手を引く経営方針であるため金融事業から完全に手を引こうとしている。
他方で、ソニーは電機メーカーではあるが、最も利益を稼ぎ出しているのはソニーフィナンシャルホールディングスを筆頭とする金融分野だ。同分野だけで2015年3月期の営業利益1933億円を稼ぎ出している。
次に高い営業利益はこれから強化を図ろうとしているデバイス分野の931億円となっている。それでも金融分野の半分に満たない。今回の事業ポートフォリオの組み換えにより、デバイス分野だけで来期は1800億円の営業利益を見込む。
というのも、両社はともに、調達した資金をもとに自社の事業ポートフォリオを組み換えようとしている点では同じだからだ。さらには、GEもソニーも、両社がもともと主要な事業としてきた製造分野に資源を集中させようとしているといえそうだ。(ZUU online 編集部)