medium_5462211538

今回は、いわゆる統計データではないものを使って景気を見る事について紹介していきます。
この方法には、比較的有名なものからあまり知られていないものまで多数あります。本稿では 、「景気とウェイトレスの容姿」 「景気とファッションショーモデルのスカート丈」 「景気とヒット曲のテンポ・調号」 を取り上げます。その上で、既存の指標だけにとらわれずに出歩いて新たな指標を探す事も重要である事を補足します。


◉投資の材料は統計データだけではない

一般に証券投資などを行う場合、様々な経済指標(産業統計、景況感、金利など)や個別企業の財務状況を利用する投資家は多いと思います。また、テクニカル分析のように実際の取引の動向を利用する投資家も一定数いるでしょう。

どちらも共通するところは、景気・市場などを見る為の統計データとして整理・公表されているものです。公表されるデータには数値化されていないものもありますが、数値化されているものに関しては統一的な方法により集計されたデータであり、統計学的に信憑性が高いが故、多くの投資家が参照するものです。しかし、皮肉にもある指標が多くの投資家に信用され、それが運用に活かされると証券価格などとの関係性が失われる事も多々あります。

一方で今回紹介するような手法は、統計学的には不完全なものも多く、必ずしも景気を表しているとは言えない可能性もあります。中には眉唾物としか言いようのないものもあります。しかし、応用したり新たな手法を生み出したりする事で、利益の根源になる可能性があります。

それでは、一般的には投資の為の情報としては認識されていないものを紹介していきましょう。


◉景気とウェイトレスの容姿

この種の景気の見方として最も有名なものの一つが、景気をウェイトレスの容姿で見る「ウェイトレス美人指数」(Vixen Index)でしょう。

美人が優遇される仕事は多く、会社の業務としては優先事項が相対的に見て低い大企業の受付などの仕事など、仕事として割が良い所で働きたがる美人も多いでしょう。故に、自ずとそうした仕事の賃金は高くなるわけですが、不景気になるとそうした優先度の低い仕事が減り、美人も仕方なく飲食店などでウェイトレスなどをせざるを得ない状況になります。

要するに、ウェイトレスの容姿が良ければ良いほど景気が悪い状況にあると判断するのがウェイトレス美人指数です。

「美人」という主観性の強い指標でどこまで判断の再現性があるかは疑問が残ります。とは言え、ロジックは明快で、「観察」という手法で景気を測れる可能性は興味深く、その判断方法をブラッシュアップする事で景気を測るバロメーターの一つにする事は可能かもしれません。


◉景気とファッションショーモデルのスカート丈

これも観察によって景気動向を見る方法で、ファッションショーのスカート丈に注目するものです。景気が上向きになるとスカート丈が短くなり、逆に下向きになるとスカート丈が長くなるというものです。

景気が上向いている時にファッションショーに出る女性の気分が高揚するからなのか、景気の機敏を感じたデザイナーが表現するスカートを自然に変えているのかは分かりませんが、その判断基準自体は明快です。

ファッションショーだけでなく、一般に女性のスカートも同じような傾向を示すという指摘もあります。一方で、マルキールが『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版社)で指摘するように、米国株式市場を長期的に見ると例外も多いという指摘もあります。