激震が走っているのは、大手不動産会社!?

余談だが、この新サービスは当面は、“都内の6区のマンションの売却”のみを対象とするので、新サービスが広がっても、街の不動産屋さんがすぐにバタバタつぶれるようなことにはならないだろう。都心部のマンションの売却専業の街の不動産会社があれば別だが。

今回の提携発表で激震が起きているとしたら、街の不動産ではなく、むしろブランド力のある大手不動産会社ではないか。いかにブランド力があろうと、ソニー不動産単独では、事業規模、営業エリアからすると、最大手クラスの大手不動産会社のシェアを脅かすような勢力にはならない。

しかし「ソニー不動産」的な手法が、Yahoo!という国内最大手のネット媒体と組み、ネットやスマホを使って「掛け算」の展開をされるとなると、話が違ってくる。

不動産の流通市場は大きな成長は見込めない成熟市場なので、市場参加者はシェアを奪い合うことになる。新興勢力にシェアを奪われて割りを食うのは既存の取引シェアの大きい不動産会社だ。特にソニー不動産とYahoo!が新サービスで展開するのは都心の優良エリアで、いきおい世帯所得が高い層が多く、ブランド力のある大手の不動産会社が得意とし、また手数料収入も高いため、力を入れていきたいエリアだろう。Yahoo!の媒体力をバックに、ソニー不動産が売却依頼を集めていくと、この一番おいしいところでシェアを食われる可能性があるのは、大手や準大手の不動産会社なのではないか?