Yahoo!,ソニー不動産
(写真=PIXTA)

7月7日、Yahoo! JAPANとソニー不動産が「業務提携・資本提携合意」を発表した。プレスリリースには「この新規不動産売買プラットフォームを通じて、不動産所有者は<自分のマンションを、自分が決めた価格で、自分で売り出す>ことができるようになる」とある。(以下「新サービス」)

一部の報道で「個人間で不動産の売買ができる」とされていたため、ヤフオク!のようにYahoo!がプラットフォームを提供し、売買の取引は参加者が直接を行い、その取引にYahoo!は関与せず、利用料だけを徴収する形をイメージされた方がいるかもしれない。誤解を招かないよう改めて指摘しておくと、この取引には、売主の媒介契約には必ずソニー不動産が入る。「個人間で中古住宅の売買取引できる」わけではない。

ちなみに、ヤフオク!内でもすでに不動産の取引のメニューがある。「マイホームオークション」というサービスだ。これは、1998年に開始されたスターツピタットハウスが運営する不動産オークションサイトだ。2007年にYahoo!と業務提携し、ヤフオク!内で不動産オークションを展開している。ヤフオク!内の「不動産カテゴリ唯一の公認ストア」とされている。

今回の新サービスの原型があるようにも思えるが、「不動産流通革命」を標榜するからには、単なる焼き直しや看板の付け替えのようなサービスに終わるものではないと期待したい。


利用者のメリットは何か?

では、この新サービスでの、ユーザーのメリットはなにか。メリットとなりうる点を抽出してみる。

1) ネットで買主と売主が直接のやり取りとマッチングができる。
2)売主は、ソニー不動産と媒介契約することになり、仲介手数料が法定上限よりも下がることが多い。
3)買主は、手数料が安くなるかもしれない(推定)。

まず、1)と2)についてだが、ソニー不動産は自社のルールとして両手仲介を禁じているので、売主側のみとの媒介契約を結ぶものと考えられる。売主がすでにいる前提で、この点を考慮しながら新サービスが利用されるパターンを考えると、次の2つが考えられる。

売主がいる前提で売買が成立するパターン
A)買主がネットで応募して、売主と合意した場合
B)(A)で見つからない場合)他の不動産会社が見つけてきた買主で売主と合意した場合※

今回の新サービスのポイントで、パターンAで、ネットで買主と売主が直接のやり取りとマッチングができる点だろう。(※パターンBは、選択肢としては挙げたが、このような対応をするかどうかは分からない。)