今後発表される主な経済指標

◆8月10日 固定資産投資(前年比) 7月 市場予想 +11.5%、前回 +11.4%

固定資産投資額は、農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したものです。不動産や鉄道関連の固定資産投資額の減少傾向が継続する限り、製造業、建設業などの固定資産投資が堅調に推移しても全体の固定資産投資額は伸び悩む可能性が高いと思われます。7月の固定資産投資額は前年比11.5%増と見込まれています。

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◆8月10日 鉱工業生産(前年比) 7月 市場予想 +6.6%、前回 +6.8%

7月の中国製造業PMIが前月から小幅に悪化したほか、内訳の生産指数も前月の52.9から52.4まで減少したことから、7月の鉱工業生産は前月から小幅に悪化し、前年比6.6%増と見込まれています。

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マーケットビュー

◆中国株 下げ一巡後反発か 騰訊や聯想集団などの大手企業決算に注目

本土市場では上海総合指数が1週間で2%余り上昇しました。PMIの悪化で中国経済の減速懸念が改めて意識される中、上海総合指数は売り先行となりました。

上海と深センの両証券取引所が空売り規制を強化したことや、中国証券最大手中信証券が空売りの信用取引を停止することを発表したことなどが好感され4日は大幅反発をみせましたが、5日と6日は投資家心理が依然として弱気に傾いたままで買いが続かず、利益確定売りに押され軟調となりました。

しかし、ブルームバーグ社が6日の引け後に中国政府系証券金融会社が株価対策のため、さらに2兆元(約40兆円)の資金を用意すると報じたことや、上海証券報が1兆元(約20兆円)超の資金の株式投資時機を公募ファンドが探っていると報じたことで7日に反発すると、上海総合指数は3,700ポイントを回復して取引を終えました。

先週発表された中国7月の輸出や生産者物価指数などの経済指標が市場予想を下回って悪化したにも拘らず、政府の株価対策が引き続き相場の下支えとなりそうで、中国市場は続伸してのスタートが予想されます。こうしたなか、今週の上海総合指数はどこまで上昇できるかがポイントとなりそうです。

先週の香港市場ではハンセン指数が小幅ながら続落しました。中国PMIの悪化に加え、米国株の軟調な推移も相場の重石となり、ハンセン指数は大きく下落してスタートしました。その後、中国の株価対策(空売りへの規制強化)や決算への期待による買いも入りやや持ち直したものの、結局週間でハンセン指数は小幅に下落しました。

先週末の米国の株式市場が早期利上げへの警戒感から小幅ながら下落したこともあり、今週の香港市場は売り先行となりそうです。こうしたなか企業の決算発表が本格化することから今週は企業業績に神経質な展開となりそうです。

12日には騰訊(テンセント・ホールディングス、インターネットソフト、0700)や香港交易及結算所(香港証券取、各種金融サービス、0388)などが、13日には中国移動(チャイナ・モバイル、無線通信サービス、0941)や聯想集団(レノボ・グループ、コンピュータ・周辺機器、0992)などが、そして14日には中国石油化工(シノペック、石油・ガス・消耗燃、0386)や中国人寿保険(チャイナライフインシュアランス、保険、2628)、金沙中国(サンズ・チャイナ、ホテル・レストラン、1928)などが企業決算発表を予定しており、目が離せません。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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