富裕層や資産家の低税率国への移動

富裕層や資産家の方が著しく強度な課税を逃れるために、更に税率の低い国を目指して移動を始めているという話をよく聞くようになりました。とはいえ既に日本を離れて低税率国に上手く移動された富裕層や資産家の方もいらっしゃるでしょうし、或いはまだ日本にいるけどそろそろ本気で移動を考えている富裕層や資産家の方もいらっしゃるかと思います。

ここでは簡単にではありますが、他の国と比べて日本の税率がどのような水準にあるのか、主な国の税率について調べてみました。

まず所得税に相当する税の各国の税率(最高税率)は次のようになっていました。

日本40%、アメリカ39.6%、イギリス50%、ドイツ45%、フランス45%、シンガポール21%

次に消費税に相当する税の各国の税率は、次のとおりでした。

日本5%、ノルウェー25%、ハンガリー27%、イギリス17.5%、フランス19.6%、カナダ5%、ドイツ17%、シンガポール7%

さらに最近のトピックである法人税(実効税率)に相当する税の各国の税率は次のとおりでした。

日本(東京都)35.64%、アメリカ40.75%、フランス33.33%、ドイツ29.55%、中国25.00%、韓国24.20%、イギリス24.00%、シンガポール17.00%

あくまで各国の税制はさまざまなようですので一律には比較できないのですが、欧米や日本の税率が高いと判断される富裕層や資産家の方は、例えばシンガポールに移動する対策をとられていたりするのではないでしょうか。


日本という選択肢

とはいえ結局税金以外にも、例えば国民性、風土、天候、季節、建築文化、交通、伝統、歴史、言語、教育、治安、食文化、ビジネス、スポーツ、音楽、娯楽などなど、すぐに思いつくだけでも社会生活において関わりのあるいろいろな要素が出てきます。

そんなことは百も承知で低税率国への移動を決断された富裕層や資産家の方々には様々な思いがおありかと思いますが、逆にそれでも日本という選択肢をとられた富裕層や資産家の方々の意見について今後たくさん聞けるようになっていれば、そのときは日本が更に良い国になっているということでしょうか。

BY S.S:税理士

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