2015-09-09_denmark_newspaper (画像はEuronewsからのキャプチャ)

深刻化増す難民の国外流出問題。EUサミットの決断を待ってはいられないとばかりに、デンマークがアンチ難民キャンペーンという強行手段に出たことを、8日、英『BBC』が報じた。

報道によると、デンマークの移民局はレバノンの新聞上で、新規難民申請者への生活援助金が最高50%まで減額される事などを挙げ「デンマークはこれ以上の難民を歓迎出来ない」という意思を明確にした広告を掲載した。

昨年は14000人、今年は20000人の難民が流れつくと予測されているデンマーク。この大胆とも言えるアンチ難民キャンペーンの背景には、経済柔軟性の拡大を政策とする、デンマーク保守党(DPP)と自由主義政党ヴェンストゥラの存在がある。

アンチ難民演説で今年6月に勢力を伸ばしたヴェンストゥラは、リベラル主義のDPPのバックアップで活動している。DPPの勢力は年々衰えているとは言え、今年の選挙では20%の国民から支持を獲得。ここ数年ヴェンストゥラが打ち出した厳格なEU圏移民政策は、全てDPPが背後で糸を引いているようだ。

既にデンマークは、EUが要請したリセトルメントプログラムを却下。シェンゲン協定からの自国離脱を望むDPPは、出入国管理体制を強化し、EU圏からの移民が他の加盟国で生活援助金を受け取りにくいシステムを作り出そうとしている。

こうしたデンマーク政府の対応を受け、『ワシントン通信』の中東駐在記者、ザイド・ベンジャミン氏はTwitter上でこうコメントした。「人口が400万人というレバノンのような小さな共和国でも、既に100万人以上の難民を受けている。世界中が全力で移民を救おうと努力しているご時世に、ご丁寧にも新聞広告でアンチ難民キャンペーンとは恐れ入ったね。あの“広告”を最初に目にした時は、冗談かと思ったくらいだ」

#Lebanon | Denmark puts ad in Lebanese newspapers about "tightening regulations" pic.twitter.com/MypCgS9wlM

— Zaid Benjamin (@zaidbenjamin) 2015, 9月 8

また欧州放送局『ユーロニュース』によると、某レバノン女性は「デンマークが人道的な行いをしたいのなら、レバノン政府のように、難民受入れの数を制限すればいいと思います。レバノンでは既に200万人近くの難民を受け入れているけれど、我々大衆は、彼ら難民がどこの誰かすらも知らないのです。手放しでは歓迎出来ない状況ですね」と、レバノン民衆という立場からの懸念を表した。

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