CPグループ :先進国・新興国での多国籍展開を積極推進、特に中国市場で大きな存在感

中国(現在の広東省潮州)出身のチャラワノン(Chearavanont)家(*13)が、1921年にバンコクで開いた種苗販売店を発祥とするタイ最大の華人系企業グループである。

1969年に創業者の4男であるタニン氏が経営トップとなり、経営の近代化・多角化を進めている。飼料生産・畜産・水産・養殖・加工・冷凍食品・小売りなどに加え、通信や不動産、金融・保険、自動車(*14)なども含むコングロマリットであり、傘下企業は200社を超え、約30万人の従業員を有する。

グループの年間売上高は、2013年で410億ドルとなっている。グループの中核は、上場企業であるチャロン・ポカパン・フーズ(CPフーズ:飼料・畜産・食品加工等)である。

加えて有力な上場企業として、CPオール(タイで約8,000店の「セブンイレブン」を運営し、2014年にタイ企業間の買収史上最大規模の1,880億バーツでディスカウントストア大手の「サイアムマクロ」(約60店)を傘下とし、さらに小型食品店「フレッシュマート」(約700店)を展開する)、トゥルー・コーポレーション(タイ携帯3位)などがある。

2014年9月に伊藤忠商事と資本・業務提携を行い、CPグループが伊藤忠に約4.9%出資する大株主となり、伊藤忠はCPのグループ企業であるCPポカパンに25%出資した。

同グループの経営の根幹は、タノン氏はじめ一族が掌握しているが、個々の事業の経営は経営の専門家に任せる体制となっている。国際展開については、特に、中国で「正大集団」の名称で大きなプレゼンスがあり、改革開放により同国への進出が認められた外資企業の中で第一号の免許を受けている(1979年)。

2013年には中国大手の平安保険集団の16%弱(94億ドル規模)を取得し、2014年には伊藤忠商事と共に中国の国有企業大手CITIC(中信集団)への約20%(総額1兆2千億円規模で両者が半々の割合を拠出)という大口の出資も行っている。

グループの中核たるCPフーズは、中国はじめアジア各国やロシアなど17カ国で事業を展開し、鶏の加工や解体処理を近代的な工場(*15)で行っており、そのモデルをベトナムなど各国に横展開していこうとしている。同社では、2014年度の連結売上高の65%を海外が占めており、今後5年間で海外売上比率を75%に高める目標を打ち出している。

また在インドネシアの子会社は、同国家禽飼料で36%、加工鶏肉で66%など、現地市場で大きなシェアを獲得している。2014年には世界最新鋭の生産設備を持つベルギーの食品加工会社を買収した。その他、外食事業でも鳥料理のレストランをインドに展開している。