ブロックチェーン
(写真=PIXTA)

ブロックチェーンの未来を築く“革命のための革命”である巨大プロジェクト「イーサリアム」。従来のビットコインシステムに限界と不満を感じていたヴィタリック・ブテリン氏を中心に、スイスで設立されたイーサリアム・ファンウデーションが2013年から開発中の新しい分散型コンピューターシステムだ。複数の画期的なアプリケーションやプログラムを統合させることにより、ユーザーが様々なアプリを利用できるようになるものだ。


人材力不足が開発のネックに

ブテリン氏が英デジタルニュース・IB タイムスに語ったところでは、新たな収入源をもたらすと期待されている新システムを軌道に乗せるために、イーサリアムの開発者達は多種多様な開発に着手しているという。「アプリに関してはユーザーが直接利用可能なものから、最近最も需要の高いビジネス関連−−銀行やloT先行企業、M&A市場と提携しているものもある」

FirefoxとMozillaが収益の80%を検索エンジンの最高額入札者から得ていることを指摘し、イーサリアムの分散型アプリブラウザー「Mist」の向上にも取り組んでいることを付け加えている。しかし開発の多くはイーサリアムのエコシステムでは補いきれないにもかかわらず、米ニューヨーク州に本拠を置くConsenSysのような人材力に欠けているため、「構想を実行にうつす頃にはAugurなどの他社に先をこされている」という不満点も明らかにした。


ハイパーインフレや経済危機がビットコイン再燃の起爆剤

ビットコインの大暴落によってイーサリアム・ファンデーションに9億BTCの損失が生じている件について、ブテリン氏は、過去数年ブロックチェーンのコンセプトやアプリ「Dapp」などに世間の注目が移行してしまい、BTCの影が薄れてしまったことが原因と見ている。

BTC再燃の可能性に関しては曖昧なブテリン氏だが、「BTCは米ドルの影響を受けやすいが、ハイパーインフレや経済危機など市場の変化がBTCを再燃させる起爆剤になり得る」とも主張。「10年後にはBTCが決済システムに利用されているかもしれないし、いないかもしれない。たとえ決済システムとして確立されなかったとしても、価値のあるものとして流通しつづけるだろう」と話している。