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3日前の4月23日(米国現地時間)にApple(AAPL:NASDAQ)の2014年Q2の決算が発表されました。本稿では、決算内容を元に現時点での財務・収益の状況を概観した上で、今後の動向について見ていきます。

結論を先取りすると、

・収益性は良くなっている
・財務は健全な水準であるものの僅かながら悪化している
・キャッシュフローは成熟企業のそれである
・先進国と中国での売上は良好だが、その他新興国での売上が鈍化・減少している
・iPhoneの売上は好調だがiPadの売上が減少している

となり、新興国の購買力増加によるiPhone普及がどの程度あるかが問題であり、今後の動向は決して楽観視出来ず、ダウ平均入りの噂やキャッシュフローの動向を見てもAppleは明らかに成熟企業の一つであり、投資対象としては配当狙いの銘柄となる。


◉Apple第2四半期決算: 損益計算書

まず、図1の損益計算書を見てみましょう。

2013年・2014年両方において3ヶ月間(四半期)の損益計算書と6ヶ月間の損益計算書が掲載されています。四半期のデータを見ると、売上高は436.03億ドルから456.46億ドルへ増加、営業利益は125.58億ドルから135.93億ドルへ増加、純利益は95.47億ドルから102.23億ドルへ増加しています。つまり、

・売上高:4.69%増加

・営業利益:8.24%増加

・売上高営業利益率:1%増加(28.8%→29.8%)

・売上高純利益率:0.5%増加(21.9%→22.4%)

であり、その収益性は良くなっています。

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図1:Appleの損益計算書(2014Q2)
出典:Apple Reports Second Quarter Results
注:特段の断りが無い限り、以降の図も同じものを引用する。


◉Apple第2四半期決算:貸借対照表

次に、図2の貸借対照表を見てみましょう。ここでは、当座比率と自己資本比率を見ます。

当座比率は、短期の債務償還能力を測る指標で、流動比率の分子(流動資産)から換金性の高いものを抽出したものになります。

当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債

ここでは当座資産は、Cash and cash equivalents(現金及び現金同等物)・Short-term marketable securities(短期市場性有価証券)・Accounts receivable(売掛金)になります。流動負債はCurrent liabilitiesです。

当座比率を計算すると、

2013年9月期の当座比率 = (14259 + 26287 + 13102) ÷ 43658 = 122.9%
2014年3月期の当座比率 = (18949 + 22401 + 9700) ÷ 43208 = 118.15%

となっています。100%を超えているので、現状では短期の債務償還能力は悪くないですが、特に良いわけでもなく、かつ、少し悪化しているので、今後の動向には注意せねばなりません。

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図2:Appleの貸借対照表(2014Q2)
自己資本比率は、総資産がTotal liabilities and shareholder’s equity、純資産がTotal shareholder’s equityなので、59.7%から58.3%になっています。誤差の範囲といえばそれまでですが、当座比率と同様に少し悪化しています。