国内の緑茶リーフ市場の極めて厳しい現状

日本国内の緑茶の市場は、リーフ(茶葉)の1世帯当たりの緑茶の消費量(総務省家計調査)が最近10年間で70%に減少している。減少したリーフ消費の分は緑茶飲料(ペットボトル売上3100億円)に吸収されている状況だ。生産ベースでも10年前の84%に漸減、緑茶販売農家戸数も10年間で半減して2万8000戸となってしまっている。

一方で、海外の緑茶ブームの影響で輸出は少しずつながら順調に拡大しており、貿易統計によれば2014年は10年前の4.6倍の78億円(3516トン)を輸出するなど、多少の光も見えはじめている。

もっともこの量は、明治初期の緑茶輸出の大ブーム時の2万1000トンに比べれば7分の1でしかなく、まだまだ伸びしろは期待できそうである。

鹿児島の緑茶メーカーが独著名ブランド「KEIKO」を販売

鹿児島の緑茶メーカー下堂園はEUのお茶の集散地となっているドイツで最も著名なブランド「KEIKO」を1998年から販売している。世界で最も厳しいドイツの残留農薬規制をクリアした有機栽培の緑茶として、市場導入から地道に改善を重ね17年をかけて大成功をおさめている。

緑茶の世界市場で最も重要視される「健康に良い食品」というコンセプトにとって最も大切なものは、緑茶の安全性である。

その点において、日本茶は現在いくつかの問題を抱えている。それは日本と異なるEUの残留農薬規制基準にいかに対応するかということ、有機栽培への対応、そして東日本大震災後の放射線被ばく問題への対応だ。

「KEIKO」は長い時間をかけてしっかり対応して現在の評価を得た。日本の他のメーカーがそのような辛抱強い対応をとれるのだろうか。さらには今後の日本農政の規制改革による支援などが最大のポイントとなるだろう。

スタバの影響で日本茶が見直される日?

スターバックスは近い将来、日本国内でもTeavanaの店舗展開を検討するとしている。

米国のブランドであるスタバが日本に造った和風のカフェによって、日本人が日本茶、緑茶の良さを再認識する日がやってくるのだろうか? いずれにせよ、衰えつつある日本茶農業が再び活性化するのなら、悪いことではないだろう。 (ZUU online 編集部)