品質はゼネコンによるところが大きい

デベロッパーとゼネコンは建築請負工事の契約を締結する。デベロッパーは消費者に対して売主責任を負っているが、一方でゼネコンはデベロッパーに対して工事完成の責任を負う形となっている。請負工事には発注者に瑕疵補修請求権が存在するため、品質もゼネコンが負っていることになる。そのためマンションの品質は工事を行ったゼネコンの施工品質と言っても過言ではない。


ゼネコンの役割とは

さらにゼネコンは多くの工事を下請けに出している。ゼネコンの役割としては、工事の種別ごとに発注される下請け業者を束ねるコーディネーターの役割が大きい。工事の種別としては、杭工事やコンクリート工事、内装工事、電気工事、給排水工事等がある。工事現場では工事進捗に合わせて、様々な業者が現場に入ってくるため、その都度、職人たちに対して現場教育や進捗管理、施工管理などを行い、現場を円滑に進捗するようにすることがゼネコンの役割なのだ。


力量が分かれる施工管理

ここで施工管理についてゼネコンの力量が分かれてくる。例えば杭工事に関して、杭の現地確認を最初の一本だけ行って、あとは業者任せにしてしまうゼネコンや、全本数に目を配らせながら責任もって管理するゼネコンも居る。

業界関係者によれば、「総じてスーパーゼネコンと言われるゼネコンは社内規定が厳しいため、施工品質の信頼性も高い」とのことだ。スーパーゼネコンとは鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組の5社だ。ただ残念ながらスーパーゼネコンは価格競争力が低いため、これらのゼネコンが施工したマンションは少ないというのが実態だ。


ゼネコンをチェックしよう

マンションは土地の仕入れ価格と建物の建築費が売値に反映されるため、ゼネコンはどうしても価格が叩かれる状況にある。そのため大手デベロッパーが売主であっても、ゼネコンが中堅クラスという例は珍しくない。このような組み合わせでは、万が一の場合、大手デベロッパーの信用力に頼るしかない。

一方でデベロッパーが中堅クラスでもゼネコンがスーパーゼネコンというケースもある。これからマンションの購入を検討する際は、まずゼネコンがどこなのかを確認することが、マンション選びの一つのポイントと言えるだろう。


業界の信頼回復なるか

仮に自分たちが一戸建ての建築する場合は、信頼できる工務店や大工に頼むのが自然な発想だ。マンションも同様で、売り手がどこかというよりは、作り手がどこかということが重要になってくる。特に杭については、土に埋まってしまい確認しようのないものであるため、消費者はブランド力を信じるしかない。目に見えない点では、かつて生じた構造計算に不正があった姉歯事件によく似ている。これからは業界全体で今後の信頼回復に向けた努力を期待したい。 (ZUU online 編集部)

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