マンション選び
(写真=PIXTA)

企業の不祥事への対応の仕方で、その後の消費者の反応は大きく異なってくる。横浜市のマンションが傾いた事件で、販売者である三井不動産レジデンシャルの対応は早かった。トップの社長が自ら住民説明会に出向き、最大級の譲歩案である建替えを行うことをその場で提示した。

マンション販売を現場で行っている業界関係者によると、この迅速な対応はむしろ三井不動産レジデンシャルの信頼性を上げたようだ。「三井なら何かあってもきちんと対応してくれる」、そんな安心感を消費者に与えた瞬間だったのではないだろうか。


自分たちのマンションは大丈夫か

一方で渦中の旭化成建材については、不信感が募っている。横浜マンションの担当者だけが不正を行っていたかのように振る舞っていたが、担当者以外が施工した北海道の案件でも不正物件が発覚した。対応が後手に回っている印象を与え、消費者に不信感を与えている。茨城県常総市の鬼怒川決壊でヘーベルハウスだけは流されなかったというグッドニュースも吹き飛んでしまい、杭のニュースで一気に信頼を落としてしまった。

このように企業の明暗を分けた一連のマンション騒動であったが、消費者の間には自分たちのマンションは大丈夫なのかという不安が広がっている。そこで今回は過去の不正事例から学ぶマンション選びのポイントについて解説してみることにしたい。


マンションは売主が作っているのか

まずマンションという商品は誰が作っているのか、売主であるデベロッパーとは一体何なのかからおさらいしよう。デベロッパーと言うのは、平たく言うと、分譲マンション用地の土地所有者である。主な仕事は分譲マンション用地を仕入れることで、実際にマンションそのものを作っている訳ではない。

今回の横浜の例では三井不動産レジデンシャルは土地の所有者であり、三井不動産レジデンシャル自身が直接マンションを作ってはいない。デベロッパーは用地を仕入れると、ゼネコンにマンション建設の発注を行う。三井不動産レジデンシャルが三井住友建設というゼネコンに作らせたのが今回の横浜のマンションということだ。