ロイズ・オブ・ロンドン
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「セレブ保険」というものをご存知だろうか。古くは米コメディー俳優、ベン・ターピンのトレードマークだった「寄り目」に始まり、マレーネ・ディートリッヒのセクシーな「声」、ベティ・デイビスの「極細ウェスト」、最近ではアグリー・ベティーで知られるアメリカ・フェレーラの「笑顔」が1億ドル(約122億7800万円)の保険対象になったことで知られている。

このような一風変わった保険を提供するのはロンドンに本拠地を置く世界最大の保険組織、ロイズ・オブ・ロンドン。 ロイズでは、セレブ保険のほかにも北極探検や宇宙飛行、69.42カラットのダイアモンド、ダヴィンチの絵画などのリスクを引き受けており、総計上収入保険料155億ドル(約1兆9039億円)に上る。一体「ロイズ」とはどのような組織なのだろう?


企業ではなく「シンジケートの集合体」

まずロイズは企業ではなくシンジケートの集合体という、独自の形態で活動している。ダイナミックともいえる事業展開は、様々な分野を専門とする300余りのシンジケートが集合し、各々がリスクを分担して引き受けているからこそ実現すると考えられる。

巨額の保険金が支払われるケースでも、例えばAの分担は5%、Bの分担は8%といった具合に分散されているため、各自の負担は軽くなるというわけだ。こうしたシンジケート自体も「再保険」を利用して万が一に備えているという。またそれぞれの得意分野(海上、火災から変わり種まで)に振り分けることで、カバーできる範囲が非常に広くなっている。


一風変わった創業のきっかけ

創業のきっかけも一風変わっている。創立者のエドワード・ロイズ氏は元々喫茶店の経営者だった。1680年代後半、ロイズ氏が経営していた喫茶店の主な客層が船乗りや船主、商人だったことから、店内では常に海運業の保険取引きが行われており、ロイズ氏自らも最新の海運情報を客に提供するようになる。

こうしたある種の2重ビジネスが発展し、やがて「ロイズ・オブ・ロンドン(保険組織)」「ロイズ・レジスター(情報収集およびリスクマネージメント組織)」などを含む複数の海上保険事業が立ち上げられることとなった。

創業者自身にとっても思いがけぬ展開であったと推測される「世界のロイズ」の発足から300年以上が過ぎ、現在ロイズは新興国も含め200 カ国以上で様々なリスクをカバーする大組織に成長した。ロイズ・レジスターの活動による驚異的な情報網の恩恵を受け、保険業界の核的存在として認識されている。

「商品化された市場に資本を提供する組織ではなく、あくまでリスク・セクターである」という組織ポリシーに基づいて、革命的な定額限度補償型保険を提供している。