世界取引総額が4兆ドル(約481兆6000億円)を上回り、空前のM&Aブームといわれる2015年。その勢いは2016年も続くと予想されているが、米国利上げによってピリオドが打たれるとの意見が聞かれる。

国際経済基盤のもろさがM&Aブームの火付け役

米ゴールドマン・サックスの今年11月までのM&A取引総額は、昨年より25%増の1兆5000億ドル(約180兆6000億円)を突破。2007年の1兆2500億ドル(約150兆5000億円)という最高記録を打ち破り、M&A投資業界で世界首位に立った。

米Dell、ベルギーのInBevといった国際大手企業から、米グリーン・マウンテンなどの中小企業までがM&Aで話題となり、年内には総額5兆ドル(約602兆円)の大台に乗るといわれている。

こうした空前のM&Aブームは市場の活気づけに大いに貢献している反面、買収交渉に応じざるを得ない企業が世界的に増えているという経済基盤のもろさを浮き彫りにしている。

米国利上げによる「買い意欲」が後退は避けられない

しかしエキスパートやCEOの中では、米国の利上げが買い渋りを引き起こすとの見方も強まっている。利上げが開始された今、投資家が負債によるバランスシート拡大を極限まで抑えようとするのは想像にたやすい。

実際ジャンク債が2008年以来初めて損失をだしたほか、InBevなどの株価が利上げ後一時的に値崩れするなど、M&Aの過熱に足かせとなりかねない兆候が見え隠れしている。

また大企業がやみくもに利益につながりそうな中小企業に交渉を持ち掛ける時代は終わりを告げ、買収側はM&Aによる信用格付けへの影響に神経をとがらせ始めているという。

影響がどのような形で結果につながろうと、米国の利上げが「買い意欲」を後退させることは間違いないだろう。(ZUU online 編集部)

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