株式市場では世界的な波乱が続いています。我が国では日経平均株価がついに、1/14(木)に一時17,000円台を割り込みました。中国経済への不安、人民元安への懸念、円高、原油安等、波乱の要因は数多く指摘されています。これらの要因がすぐに解消するとは考えにくいこともあり、中期的には株式市場の波乱が続く可能性は残ると考えられます。
しかし、株価の下げが短期間で急速過ぎるため、テクニカル的には反発局面入りしても不思議ではないタイミングになってきました。すでに日経平均のRSIや25日移動平均との乖離率、東証一部の騰落レシオ等が「下げ過ぎ」を示唆していることは、「225の『ココがPOINT!』」などでご説明した通りです。水準的にも9/29に付けた安値16,901円近辺まで下げているため、値ごろ感が強まりつつあります。
折しも、1月下旬以降は決算発表が本格化してきます。そうした中、好業績を予想されている銘柄が、決算を先取りして買われても不思議ではない時期ですが、全体的に株価が下げているため、それらの銘柄もツレ安している可能性があります。
日経平均株価の水準が下がった現状は、実は「買い場」と言えるかもしれません。今回の「日本株投資戦略」では、こうした局面で買い場になっている可能性のある銘柄について探ってみました。
「買い場到来」の好業績銘柄はコレ!?
最初に、東証一部に上場する主力銘柄の中から、株価がある程度下げているものの、好業績が見込める銘柄を「有望銘柄」としてご紹介いたします。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証一部上場銘柄。
(2)時価総額1兆円以上。
(3)予想EPSを公表している調査機関が2社以上あること。
(4)今期予想EPS(市場コンセンサス)が過去4週間で上昇。
(5)今期予想営業利益について、市場コンセンサスが会社予想を上回っている銘柄。
(6)日経平均が目先の高値を付けた2015/12/1から、一時17,000円割れとなった2016/1/14まで株価が10%超下落。
(7)ニュースフロー等から投資家が警戒するとみられる銘柄でないこと。
上記の全条件を満たす銘柄を(4)に示した予想EPSの4週間変化率について、その上昇率が大きい順に、業種重複を避けながら5銘柄を表1に並べました。
富士重工 <7270> に代表される自動車株は円高が逆風となっているため、株価下落率が大きくなっています。しかし、ガソリン価格低下の恩恵が大きい米国等では堅調な販売が期待できそうです。株価が反発する局面では、為替市場での円高一巡も見込まれ、そのことが追い風になる可能性があります。なお、自動車関連では豊田自動織機 <6201> やスズキ <7269> 、日産自動車 <7201> も上記の全条件を満たしましたが、業種重複を理由に表1には掲載しませんでした。
東日本旅客鉄道 <9020> 等の電鉄株は「インバウンド関連」の側面があり、中国経済鈍化の影響を懸念されたため、全体にツレ安してしまった面があります。また、花王 <4452 >も中国での需要減退懸念が逆風になります。しかし、これらは本質的には景気変動の影響を受けにくいセクターです。むしろ、原油価格の下落がコスト低下に寄与する可能性があります。
三菱電機 <6503> は、電機メーカーではあるものの、収益を左右するのは内外の設備投資とみられます。その意味で、中国でのスマホ販売の鈍化が自動化機器の需要減につながると警戒されている面があります。しかし、第3四半期までは増益で推移しており、減益予想にとどめている通期の予想営業利益は達成可能かもしれません。なお、中国のスマホ販売鈍化という流れはファナック <6954> にも逆風です。ただ、業績の悪化は足元で織り込まれている感もあり、会社予想を大きく下回らなければ、悪材料出尽くしとなる可能性もありそうです。
なお、スクリーニング条件のうち、(2)の時価総額条件を切り下げたものが表2となります。一言でまとめれば、東証一部上場の中小型株から株価の下落した好業績期待銘柄を抽出したという形です。
外部環境からみると業績面をあまり期待できないイメージがあるものの、調査結果としてのアナリスト予想が強めになっている銘柄が多く、実際に業績の上ブレが確認されれば、株価が大きく上昇する可能性があります。反面、市場での流動性が下がるため、株式市場が落ち着かない間は株価が波乱となる可能性もあり、一定の注意は必要であるとみられます。
女性向けカジュアル衣料のアダストリア <2685> は第3四半期までの営業利益が累計で前年同期比155%増と、通期予想(前期比134%増)を上回るペースです。11月に落ちた既存店売上高も12月には回復しています。調剤薬局等を営むクオール <3034> も中間期までの営業利益が前年同期比75.6%増と好調です。
日本マイクロニクス <6871> はスマホ市場の成長鈍化が逆風で、株価も2014年高値6,935円から84%下げました。今期は会社予想営業利益が減益となっているため、市場の期待度も低く、下値は限定的になりつつあるように思われます。住宅の飯田グループホールディングス <3291> は上半期に前年同期比54.7%の営業増益で、通期の上振れが期待されます。アスクル <2678> も月次売上高が順調に推移しています。