分析方法

利用したデータは2014年に筆者等がインターネットを利用して実施した「生活に関するアンケート」です。30~59歳までの男女が対象です。この中から、既婚者かつ子供がいる家計で、住宅を保有しているか、賃貸物件に住んでいる人に回答者を限定しました。

未婚者、既婚でも子供いない家計、社宅や親と同居している人は除外しました。これは、住宅費や教育費の分析上、できるだけ条件を揃えるためです。この結果、分析対象者は1,055人です。このうち、男性が462人、女性が593人です。

住宅費は、家賃や住宅ローンの毎月の支払額をアンケートで尋ね、家計年収(夫婦2人の年収の合計)に占める住宅費の割合の大きさをもとに、回答者を高・中・低の3つのグループに分類しました。図表1はこの3つのグループに分類した場合の各グループの特長を表しています。この3つのグループは概ね同人数となるようにしています。ただし、住宅ローンの返済は毎月の返済額だけであり、ボーナスによる返済額は含まれていません。

列(1)は、家計年収に占める住宅費の割合(支出割合)、列(2)は、月平均の住宅費の支出額です。「住宅費低」は、住宅費の支出割合は約0%、月平均の支出額は0.3万円でした。このグループは、住宅保有者で住宅ローンを完済した人がほとんど占めています。

「住宅費中」は、住宅費の割合は11%、月平均支出額は7.6万円です。「住宅費高」は、月平均支出額は10.5万円です。「住宅費中」に比べて約3万円の増加ですが、住宅費の割合は23%と大幅に上昇しています。このように住宅費が多いほど、家計年収に占める割合が高くなっており、他にまわす支出が制約されていることがわかります。

固定費の見直し1

次に教育費は、毎月の教育費の支払額をアンケートで尋ね、家計年収に占める教育費の割合の大きさをもとに、回答者を高・中・低の3つのグループに分類しました。図表2はこの3つのグループに分類した場合の各グループの特長を表しています。(1)列目は、家計年収に占める教育費の割合(支出割合)、列(2)は、月平均の教育費支出額です。

「教育費低」は、教育費の割合は約0%、月平均支出額は0.1万円です。ほとんど教育費を使っておらず、子供の年齢が低い、子供が公立の学校に通っている、あるいは子供が大学卒業直前だと考えらます。「教育費中」は、教育費の割合は5%、月平均支出額は3.1万円です。

「住宅費高」は、家計収入に占める教育費の割合は14%に上昇、月平均支出額も8.2万円に増加しています。またここでも、教育費が多いほど、家計の支出が制約されることがわかります。

固定費の見直し2

次に、お金を貯められているか表す指標は、以下の2つを使用します。一つ目は、

金融資産年収倍率 = 金融資産 / 家計年収

これは、保有している金融資産が年収の何年分かを表す指標で、数値が大きいほど、お金が貯まっていることを表します。一般に、年収が高ければ、金融資産も多くなる傾向がありますが、この指標は、このような関係を考慮しながら、お金のため具合を調べることができます。二つ目は、

目標到達率 = 65歳時点での必要金融資産 / (現在の)金融資産

ここで、「65歳時点での必要金融資産」は、回答者本人が65歳時点で老後の生活のために必要だと考えている金融資産額です。いわば、退職するまでに貯める目標額です。

これを現在の金融資産額で割っているため、この指標は、目標金融資産までの到達率を表しています。数値が大きいほど、お金が貯まっていることを表します。100%の場合、現在時点で65歳以降に必要と考えられる金融資産を保有していること、100%以上の場合は、現在の金融資産が必要な額を超えていることを表します。