(写真=PIXTA)
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◆ECBが21日開催した政策理事会で3月の追加緩和の方針を表明した。第2の国際通貨・ユーロの中央銀行の意思表明は萎縮する世界市場に好影響を与えたが、ECBの政策だけで大きな流れを変えることは困難だ。2012年の債務危機時と異なり、今回はユーロ圏が世界市場の動揺の原因ではない。

◆年初来の市場の動揺の直接の引き金は中国の景気減速懸念の再燃にあるが、底流には、米FRBの金融緩和の出口戦略が始まったことにある。原油は供給要因も影響し大きく値を下げたことが、株価の重石となる悪循環が続いた。外国為替市場ではドルに連動してきた人民元の切下げへの懸念が燻る。

◆年初来のユーロ相場の動きは円に比べて小さく、ECBの追加緩和は、ユーロ高圧力への警戒よりは、金融市場や世界経済全般の不確実性の高まりや原油価格の下落による低インフレ長期化への対応という意味合いが強い。

◆ドラギ総裁は、中国経済の減速ペースは想定の範囲内とし、中国の政策当局への信頼感を表明した。欧州では市場としての中国への期待は依然高く、人民元のIMFのSDR構成通貨入りやAIIBの創設にも賛同した。AIIBではユーロ参加国は議決権を一本化し、影響力の発揮を狙う。今後、どのような役割を果たすのか注目されよう。

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