◆不動産価格のピーク

「東京の不動産価格のピークはいつごろと考えるか」を聞いたところ、「2015年あるいは現在」が27.9%、「2017年下期~2018年」が27.9%、「2016年~2017年上期」が27.0%などと見方が分かれた(図表-8)。

不動産市況アンケート7

国内で高額の不動産取引が続いた一方、金融市場で世界的にリスク意識が高まるなか、既にピークとする回答が3割近くに達した。一方、依然として買い手の取得意欲は強いとして、2018年まで不動産価格の上昇が続くとする回答が合わせて過半数を占めた。

その中でも、米国金利の引き上げの影響や来年の消費税率の引き上げを視野に「2016年~2017年上期」を予想する回答と、国内の低金利は当面継続するとして「2017年下期~2018年」を予想する回答の2つに分かれた。他方、不動産価格にとってプラス要因といえる東京オリンピックについて、実際の開催時期まで不動産価格の上昇が続くとの見方は少なかった。

また、「2021年以降」(3.6%)との回答も少なく、オリンピックを経て東京の国際競争力が向上するという見方や、インフレ対応資産として長期的な不動産価格の上昇を期待する見方は限定的といえる。

(*1)不動産・建設、金融・保険、不動産仲介、不動産管理、不動産ファンド運用、格付、投資顧問・コンサルタント、不動産調査・出版などに携わる専門家。
(*2)2015年初の政府目標値は2020年までに年間2,000万人であったが、既に2015年に1,974万人(前年比+47.1%)を記録。
(*3)増宮守「不動産市場は全般に堅調も、オフィス需要など一部に弱い動き~不動産クォータリー・レビュー2015年第3四半期~」
ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2015年11月5日
(*4)増宮守「不動産価格サイクルの先行的指標~ピーク感が強まる中、各指標の現状を確認~」ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート、2015年8月28日

増宮守
ニッセイ基礎研究所 金融研究部

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