自分に刺激を与え、成長を導き、さらに仕事の可能性を広げてくれる人とのつながりこそ、意味のある「人脈」と言える。そんな人と出会うためには、何をすればいいのだろうか。多くの人脈を持つ山本真司氏に、40代から人脈作りの秘訣をうかがった。
「ある程度成功した人」のほうが危ない!?
社内でのステップアップに明け暮れる間に、社外の人脈作りをしていなかった──そんな40代ビジネスマンは多いでしょう。中でも注意すべきは、「社内引きこもり」。社外の人々と接することに抵抗を覚える状態です。
この状態にある人の多くは、社内である程度の成功を経験しています。そしてその過程で、会社のカラーを良くも悪くも身につけています。それは時に、組織の風土やローカルルールに基づく狭い視野・偏った判断基準を形成することがあります。
そうなると、外界との間にはギャップが生まれます。外に出たときに他業界についての無知が露呈したり、社内ルールそのままの行動をして恥をかいたりすることもあるでしょう。そのストレスを避けようと、ますます引きこもるのです。
しかし私はあえて、そんな方々にこそ、外に出ることを勧めます。
現在、日本企業は業界を問わず、イノベーティブであることが求められています。そこで働く人材にも、既成概念にとらわれない新しい発想が必須です。
その発想力は、異質なものとの接触なしには生まれません。引きこもりのままでは個人の成長が止まるだけでなく、そうした人々で構成される会社も、いずれ停滞するでしょう。
ですから、ここは勇気と謙虚さが大事。恥をかくことを恐れずに外の世界に打って出て、未知のことを「教わる」姿勢を持ちましょう。
「40代から人脈を作ろうとしても遅すぎるのでは?」という不安もあるでしょう。しかしそこは心配無用。私自身も、意識的に人脈を作り始めたのは40代以降です。いつから始めようと、その人次第で人脈を育てることは可能です。
さて「その人次第」と言いましたが、ここが重要なポイント。人脈を構築できる人の条件は、「人から『会おう』と思ってもらえる人」であることです。
誰しも、魅力に欠ける人とは会いたいと思いません。多忙な人物ならなおさらです。人脈を作るなら、会ってもらう価値=「実力」が不可欠なのです。
実力を構成する要素はさまざまですが、突き詰めると「ビジョン」「ストラテジー」「影響力」の3つに集約できます。高い志とそれをイメージ化する構想力、その実現を図る戦略構築力、そして他者の思考や行動に刺激を与える力です。
それらを身につけるには、とにもかくにも「勉強」。とくに、これまでしてこなかった人には猛勉強が必要です。自分の仕事やその分野に関する知識を磨き、さまざまなことに興味を持ち、それに対する独自の見解を持つこと。こうした専門性と確かな価値観が、実力と魅力の源になります。