スタンダード&プアーズ(S&P)が、長期的な原油価格の崩壊が経済に及ぼすマイナス影響を理由に、サウジアラビアやブラジルを含む原油産出国5カ国の国債格付けを下げた。

原油生産を経済基盤にしていた国は、軒並みかつての財政黒字から一転。昨年6月から50%の下落を記録するなど、出口の見えない原油安に昨年の公的債務が1000億ドル(約11兆3210億円)に達したサウジアラビアを始め、各国の財政状況は悪化の一路をたどっている。

2月16日にサウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラ間で生産量の凍結が合意されたのを機に、イランやナイジェリアなども支持する声明を発表しているが、実質効果に懐疑的な市場の動きを反映してか、原油価格は30ドル前後(約3393円)で上昇下降を繰り返すといった状態だ。

S&P「サウジアラビアの国家予算は、原油価格が45ドル前後の設定」

S&Pは「長期化した見通しの不透明さが各原油産出国の経済に与える影響は大きい」として、サウジアラビアの格付けをAAから2段階下の「A-(安定) 」 へ、ブラジルをBB+からBBの「ネガティブ」に引き下げたほか、オマーン(BBB-安定)、バーレーン(BB)、カザフスタン(B安定)がそれぞれ1段階降格された。

同時にコロンビアのアウトルック(ストラクチャード債を除く長期発行体格付けを対象とした、今後半年から2年間の信用リスクの評価)もネガティブに降格されたことから、将来的には国債格付け自体も引き下げられる可能性が高いとの見方が強まっている。

サウジアラビアは今年に入って14%の支出削減策を指示するなどして、公的債務を国内総生産(GDP)比の14%まで落とし込む構えだが、S&Pは「収益の75%が原油生産で成り立っているサウジアラビアの国家予算は、原油価格が45ドル前後(約5090円)という設定で編成されている」と警戒心をあらわにしている。(ZUU online 編集部)

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