家計調査の詳細:労働参加率が3ヵ月連続で改善
家計調査のうち、2月の労働力人口は前月対比で+55.5万人(前月:+28.4万人)と、50万人超の大幅な増加となった。これで増加は5ヵ月連続となった。内訳を見ると、失業者数が+2.4万人(前月: ▲12.5万人)増加したほか、就業者数が+53.0万人(前月:+40.9万人)と5ヵ月連続の増加となった。非労働力人口は▲37.4万人(前月:▲8.8万人)と、こちらも減少が顕著であった。
この結果、労働参加率は就業者数の増加が寄与する形で3ヵ月連続の改善となった(図表5)。ここもと、労働力人口の増加基調が明確になってきており、労働参加率の改善に弾みがついてきている。もっとも、労働参加率は、人口動態変化を考慮しても金融危機前の水準を大幅に下回っており、さらなる改善の余地が残っていると言えよう。
失業率は小数第2位でみても2月は4.92%(前月:4.92%)と前月と同水準であった(図表6)。足元の失業率はFOMC参加者の長期目標水準と一致しているが、今月のFOMCでは見通し改定が予定されており、どのような見通しが示されるか注目される。
次に、2月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、216.5万人(前月:208.9万人)となり、前月対比では+7.6万人(前月:+0.4万人)と2ヵ月連続で増加した。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアも、27.7%(前月:26.9%)と3ヵ月連続の増加となった(図表7)。さらに、平均失業期間は29.0週(前月:28.9週)と、2ヵ月連続の増加となった。長期失業者についてはここもと改善が滞っている。
最後に、周辺労働力人口(180.3万人)(*3)や、経済的理由によるパートタイマー(598.8万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(*4)をみると、2月は9.7%(前月:9.9%)と前月から▲0.2%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.8%ポイント(前月:5.0%ポイント)と、こちらも2ヵ月ぶりに前月から▲0.2%ポイント縮小した。
(*1)季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
(*2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
(*3)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
(*4)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
窪谷浩
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
主任研究員
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