現在、日銀による金融緩和の影響で金利はあらゆる年限において歴史的低水準になっている。低金利ということは、預金をしていてもお金があまり増えない反面、借金をしても返済利率が低く済む傾向が強い。借金と聞くと、あまり良いイメージを持たない人もいるかもしれない。しかし、多くの富裕層はあえて「借金」をしていることはご存じだろうか。多くの資産を保有しているのに、借金である。これは一体どういう理由からなのだろうか。
富裕層の借金に対する考え方
富裕層があえて借金をする理由は、より多くのキャッシュを手元に確保することにある。事業を興すにしても、不動産を購入するにしても、資金が必要だ。キャッシュがあって初めて物事を動かせるのである。たくさんの資産を築いた富裕層だからこそ、その重要性を認識している。
銀行などの金融機関は、融資の前に与信判断を行う。富裕層は一般の人より多くの純金融資産や不動産、自社株式などを保有し、年収も高いことが多い。従って一般の人より好条件でローンが組めることも、富裕層が借金を積極的に活用している理由のひとつといえる。
また、富裕層はキャッシュを株式や投資信託、不動産などに替えて運用しているため、手元にあまりキャッシュがない場合も多いのである。必要な都度、キャッシュに戻すのは手数料がかかるし、手間もかかる。
富が富を生む仕組みとは ?
富裕層はお金の殖やし方がうまく、レバレッジを活かした資産運用を行っている。例えば、手元のキャッシュが1,000万円あり、そこに500万円の借金をしたとする。1,500万円を運用して利益を得るのである。1,000万円よりも1,500万円の方が運用利益の額は大きくなる。返済が気になるところだが、基本的には運用利回りが返済利率を上回れば問題はない。利益で返済すればいいだけである。
もちろん資産運用や借金にはリスクもあることを認識することも重要だ。運用の巧拙や市場環境によって、想定通りの利益が上がらない場合もある。諸経費を引いた純利益が返済額を上回らなければ、資金の持ち出しが発生してしまう。また、富裕層であっても、基本的には貸付限度額が存在する。資産運用のための借入で貸付限度額を使い切ってしまうと、本当に資金が必要なときに融資が受けられないという恐れもある。
しかし、それらのリスクを鑑みても、多くの富裕層は「富が富を生む」仕組みの構築を重要視している。そして得た富を担保に新規の借入を行い、また資産運用をしていき、富裕層はさらに富を得ていくのである。
一般の方もその仕組みは再現できる
一般の人も、この富が富を生む循環を再現することはできないだろうか。もちろん、規模は違うが、仕組みを再現することはできる。
例えば、住宅ローンである。2017年6月現在、住宅ローンは歴史的な低金利である。今であれば、低い水準の固定金利で融資を受けることも可能で、税金の優遇措置もある。キャッシュで家を購入する資金があっても、あえて住宅ローンを利用し、温存したキャッシュは運用で利益を得ていくのである。もちろん運用成績が常に返済利率を上回る保証はないが、借金 (借入) を有効活用する方法といえよう。
本質的には、金利水準にかかわらず、返済利率より運用利回りが上回る確度が高いのであれば、資金は借入で調達し、お金を働かせるべきなのである。こうすることにより、富裕層の「富が富を生む」という仕組みを再現することになる。
借入で資金調達し資産運用する典型例は不動産投資だろう。不動産投資を検討している場合、まずは、どのくらいの実質利回りが見込めるか計算してみることだ。実質利回りと不動産投資ローンの返済利率の差 (スプレッド) はどれくらいあるだろうか。不動産投資の場合は空率リスクや賃料下落リスクを考慮する必要があるため、自分だけで判断せず、専門家に問い合わせることをおすすめしたい。
借金は悪という認識を改めるべし
富裕層は借金 (借入) を味方につけて資産を拡大する。もちろん、前述の通り、借金にはリスクも存在する。しかし上手に利用すれば資産形成のスピードをあげるために、借金は大きな助けにもなる。ありがちな「借金は悪」という認識は改めて、自身の資産運用を見直してみてはいかがだろうか。(提供: 大和ネクスト銀行 )
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