トランポノミクスへの期待などもあり、米国の主要株価指数は、今年に入って軒並み過去最高値を更新している。そのようななか、日本株の代表的な株価指数のひとつである日経平均株価は、過去最高値どころか、2015年6月につけたアベノミクス高値すら更新できていない。

日経ジャスダック平均株価に、いったい何が起きているのだろうか。今回は、日経ジャスダック平均株価について紹介する。

日経ジャスダック平均株価とは

ジャスダック
(写真=PIXTA)

日経ジャスダック平均株価は、日本経済新聞社が公表している株式指数の1つである。東京証券取引所のジャスダック市場に上場している全銘柄が対象 (日本銀行、ETF、REIT、優先出資証券、子会社連動配当株式などの普通株式以外を除く) で、日経平均株価の算出方法とほぼ同じ計算式で算出する。

ジャスダック市場には、ある程度利益がでていて相対的に会社の存続性が高い企業向けの「スタンダード」と、将来性を秘めた成長途上にある企業向けの「グロース」の2種類がある。2017年4月現在で、スタンダードに上場している企業数は712社、グロースに上場している企業数は42社あり、合計754社がジャスダック市場に登録されている。どちらにせよジャスダック市場は、東証1部上場企業と比べて、基本的には時価総額が小さく、その分、成長期待が強い「新興株市場」と考えておけばいいだろう。

25年ぶり高値更新

2017年3月には、日経ジャスダック平均株価は3,000円を上回り、25年ぶりの高値を更新している。同じく3月には21連騰も記録した。株式市場が開いているのは平日のみなので、21連騰というと、ほぼ1ヵ月ずっと上昇を続けていたということだ。

ここ1〜2年の動きを見てみよう。これまでアベノミクス高値は2015年7月の2,800円強であった。その後、2016年2月には2,200円を割り込んだが、そこを底に、2016年9月頃から明確な上昇トレンドを描いている。2017年4月現在は多少の調整局面に入っているものの、2017年以降、アベノミクス高値更新そして25年ぶり高値更新と好調を維持している。

では、なぜここにきて25年ぶりの高値更新に至ったのだろうか。もちろん大きな流れとしては、アベノミクスを含めた世界的な金融緩和状態で、投資家が溢れたマネーの投資先を探していることが挙げられる。加えて、トランポノミクスをはじめとした財政拡張政策への期待も根強い。

しかし、それだけでは、大型株 (日経平均株価) が新興株 (日経ジャスダック平均株価) をアンダーパフォームしていることを説明できない。前述の通り、2017年4月現在の日経平均株価は、2015年6月のアベノミクス高値すら更新できていないのだ。

新興株の上昇は投資家がリスク選好している証 ?

さらに、日銀が四半期に一度発表している景況感レポートである「日銀短観」を確認しても、業況判断の推移、売上高経常利益率の推移、資金繰り判断、金融機関の貸出態度判断、どれを取っても製造業・非製造業に関わらず、中堅企業や中小企業に比べて、大企業の方が良い結果が観測されている。

もちろん、日銀短観で回答している「中堅企業」や「中小企業」の多くが未上場企業であり、ジャスダック市場に上場し成長性を期待されている新興企業と、日銀短観の中堅企業や中小企業を同列に扱うことはできない。ジャスダック市場には、大手ハンバーガーチェーンや大手100円ショップなど、知名度があり業績好調な企業も多い。

しかし、少なくとも大企業の業績や見通しが悪くないということは言えるだろう。新興株の上昇相場は投資家のファイティングポーズが続いている (リスク選好の環境が続いている) 証ともいえる。もしかしたら、近いうちに、新興株に対する大型株のアンダーパフォームの修正もあるかもしれない。

ただし、新興株は、一般的にボラティリティ (資産価格の変動幅) が大きく、投資の際にはバリエーション (割安か割高か) や業績などをしっかり確認することが重要だろう。(提供: 大和ネクスト銀行

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