保険にITを活用した「InsTech」(Insurance×Technology)のイノベーション企業が集まる英国ロンドンで、新技術によるサービスを売り込む企業と保険会社、スタートアップ企業支援者のネットワーキングの場を提供するイベントが2月末、開催された。
このイベント「第6回InsTech London Meetup “Show & Tell” 」は、保険業務のアウトソース事業会社であるチャールズ・テイラーCOOパオロ・クオモ氏、プライスウォーターハウスクーパースの保険チームリーダーなどが主催。会場となったロンドン中心部にあるオフィスビルのイベントスペースでは、20近くの主に英国の新興企業がテーブルやブースを構えて自社サービスを売り込んだ。そのいずれにも立ち見客が集まりデモや解説に聞き入っていた。
渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、ロンドンオフィスからのレポート。
ブロックチェーンを詐欺リスク低減に活用する企業も
出展企業をいくつかを紹介すると、Doorda (ドーダ)は、公的機関が公表する衛生、治安、貧困率、国勢調査等のデータを分析・加工し保険事業用に提供するスタートアップだ。また保険会社や再保険会社の事業利益向上の取り組みに役立つ、リスク関連ビッグデータの分析サービスを提供しているのがAnalyse Re(アナライズ・リ)。
SweatCoin (スウェットコイン)は、運動が三日坊主で終わるのを防ぐため、運動時に装着した携帯端末に記録された運動データを仮想通貨に置き換え、スポーツ衣料メーカーや生命保険会社などの健康関連産業の商品購入に使用できるようにするシステムを提供している。
また注目が高まっているブロックチェーンを高価物の紛失・盗難保険における保険金詐欺リスク低減に利用しているのが、Everledger(エバーレジャー)だ。主に高価な品の紛失・盗難保険における保険金詐欺リスクの防止のため、対象物の生成・加工・鑑定・取引履歴の全てをブロックチェーン化させて管理するシステムを提供。その例としてダイヤモンド鑑定・取引履歴のブロックチェーンシステムを構築している。
360 Globalnet(360グローバルネット)は自動車事故など損害保険の保険事故の現場で、顧客自身がスマートフォンで事故状況を撮影・計測・入力し査定人に転送することで、損害査定業務を効率化させるシステムを提供。また以前ZUU onlineでも紹介されたTrōv(トロブ) は電子機器、自転車、レジャー用品等の小さな身のまわり品への僅少額保険料での付保から、自動車、不動産に至るまで、「あらゆる物」についての保険購入を誰もがスマートフォン上で極めて簡便に行うことができるシステムを提供している。
このほか、金融等の規制業種を営む顧客企業における規制違反リスクを分析・定量化するサービスを保険会社に提供しているCovi Analytics(コヴィー・アナリティクス)も出展していた。
FinTechの裾野の広がりは今後保険分野にも及ぶ可能性を強く意識させられた催しだった。ロンドンでは、7月開催予定のInsurance IoT Europe Summitを含むInsTech関連のイベントが数カ月に一度は開かれる予定。今後もロンドンでこの動きを注視していきたい。(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 FinTechチーム)
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