「イメージ」に変えれば、無味乾燥なものも記憶できる

では、私がこれらをどのように覚えているか。これらの種目で記憶する対象は「名前」「トランプ」「数字」「単語」ですが、それをそのままの状態で覚えるのではなく、全て"イメージ"に変えて覚えているのです。たとえば数字を覚える場合、数字そのものでなく、あるルールに従ってイメージ(絵)に変えて覚えるのです。

私の場合、0から99の100個の数字それぞれに、あらかじめ数字の読み方のゴロあわせで作ったキャラクターが設定されています。たとえば私が作った01は、マイケル・ジャクソンです。また、29は歌手の福山雅治さんだったり、82は将棋の羽生名人といった具合です。

そして、それらのキャラクターのイメージを保管する場所も同様に決めておきます。その場所とは普段の生活において身近な場所を候補にします。一番手っ取り早いのは自宅です。自宅の中で自分が動く順番に存在している構造物を、記憶の保管場所にします。ベッド、テーブル、時計、テレビ、絵画、花瓶……といったものを記憶の保管場所とするのです。

その準備をした上で、初めて数字の記憶ができるのです。まずは並んでいる数字を2桁ずつに分け、その数字に割り当てられているキャラクターを思い浮かべます。そしてそれらのキャラクターが記憶の保管場所にいるところを頭の中に思い浮かべるのです。「福山雅治がベッドの上で歌っている」という感じです。

そして、思い出す時は記憶の保管場所を頭の中で辿り、そこにいるキャラクターから数字に戻す作業をするのです。「ベッドで歌っていたのは福山雅治だから最初の数字は29、テーブルで踊っていたのはマイケル・ジャクソンだから01、時計の針にぶら下がっているのは羽生名人だから82」というふうに、数字に解凍するというわけです。
記憶したい対象をイメージ(映像)に変換する、これこそが記憶術の神髄なのです。