FinTech
(写真=PIXTA)

金融 (Finance) とテクノロジー (Technology) を掛けあわせた「Fintech (フィンテック) 」が現在、金融業界のトレンドだ。

Fintechとは、金融サービスにおいてIT技術を活用し新たなサービスを提供することを意味する。2015年度から国内におけるFinTech分野の市場規模は急成長しており、今後もこの勢いは続くことが予想される。

現在FinTech分野では、決済、資産管理、資産運用、仮想通貨、金融情報、会計、ソーシャルレンディングといった幅広い領域でサービスが展開されている。そのなかでも投資家からの注目度が高いのが、「仮想通貨 (ビットコイン) 」と「資産運用 (ロボ・アドバイザー) 」の領域だ。これらのビジネスが資産運用にどのような影響を与えるのかをみていこう。

仮想通貨のメリットはコストの低下

仮想通貨とは、オンライン上で経済活動を行うことができる“お金”のような存在だ。つまり、仮想通貨を使うことで、オンライン上で買い物ができる。日本では“ビットコイン”が有名だが、ビットコインも仮想通貨の一種だ。こう聞くと怪しい存在だと思われる方もいるだろう。しかし2016年3月4日、日本政府は仮想通貨取引の透明性を向上させる法規制案を閣議決定し、ビットコインなどの仮想通貨を「財産的価値」を持つとして、公的な決済手段の一つであると位置づけた。あくまで財産的価値を持つだけで”貨幣”ではないが、買い物時に貯まるポイントと同じ扱いと考えれば必要以上に不安にならなくてよいことはお分かりいただけるだろう。

仮想通貨のメリットとして、最初に挙げられるのが海外送金手数料の安さだ。手数料は無料か格安に設定されている。仮想通貨は個人同士で直接やりとりを行うため、一般的な通貨で送金手続きをする時に必要な、仲介役となる銀行などが存在しない。お財布からお金を出して支払うのと同じイメージで仮想通貨を利用することができるのだ。

また、国によって通貨の単位や名称が異なるという特徴がないため、仮想通貨を使えば、世界中で利用できるというメリットもある。たとえば、近年人気を呼んでいる海外ETFなどの外国投資にこの仮想通貨を利用できるようになれば、為替手数料を負担することがなくなるため、投資に対するパフォーマンスが大幅に改善する可能性もあるわけだ。

初心者の投資先としてはリスクが高い

2014年、仮想通貨ビットコインの取引所である「マウントゴックス」が経営破たんし、仮想通貨の持つもろさが露呈されたことで利用者に大きな衝撃が走った。また、世間一般に対しても、「危険」、「信用できない」といったネガティブなイメージが広がった。
仮想通貨の取引所は中小企業が運営していることも多い。また、預金保険法などの法整備もまだ追いついておらず、資産を守るルールがないために、顧客の資産が消滅してしまうリスクがある。もちろん、仮想通貨そのものへの信用と取引所の信用はまったく別次元の話となるが、実際の投資先として仮想通貨を考えた場合、取引所の信用リスクも無視はできないだろう。

経済学者の野口悠紀雄氏は、その著書「仮想通貨革命―ビットコインは始まりにすぎない」のなかで、価格変動が激しいことから、仮想通貨を投資の対象とするのは危険すぎると述べている。これから投資を始める初心者には、投資対象としての仮想通貨はやや敷居が高いといえそうだ。

初心者にお勧めなロボ・アドバイザーによる資産運用

Fintechと資産運用の接点として注目されるのが、ロボ・アドバイザーの普及だ。ロボ・アドバイザーとは、コンピュータによる運用支援のことで、欧米ではここ数年で急速に広まった。スマートフォンのアプリなどを使い、コンピュータが資産運用方法を助言する個人投資家向けのサービスで、各人の運用方針に合った最適な金融商品のポートフォリオを自動作成し、投資成績をリアルタイムで確認できる。

これまでもマネージドアカウントと呼ばれる資産運用をプロに任せるサービスは存在していたが、数億円以上の資産がある富裕層向けにすぎなかった。ロボ・アドバイザーの出現により、機関投資家や富裕層にしか利用できなかった資産運用サービスが初心者にも身近になりつつある。

ロボ・アドバイザーの登場で、金融機関は投資家の多様なニーズにあわせてカスタマイズした、最適なポートフォリオを低価格で提供できるようになった。ロボ・アドバイザーは営業員を介さないため手数料が比較的安い半面、市場の急変時はどのように対応していくかなど、今後の発展に注目だ。(提供: 大和ネクスト銀行

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